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屋後
「屋後〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
屋後の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
静かなり」
同二十七日――「昨夜の風雨は今朝なごりなく晴れ、日うららかに昇りぬ。
屋後の丘に立ちて望めば富士山真白ろに連山の上に聳《そび》ゆ。風清く気澄めり。
....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
譚が支那にもある。いわく、〈会稽余姚《かいけいよよう》の人|銭祐《せんゆう》、夜
屋後に出で、虎の取るところと為《な》る、十八日すなわち自ら還り、説くに虎初め取る....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
なかったが、わたくしにはどうやら感じられた。「可哀そうな青年」 何に愕いてか、
屋後の池の方で水鳥が、くゎ、くゎ、と鳴き叫び、やがて三四羽続けて水を蹴って立つ音....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
来る旅人の混雑は、馬籠のような遠く離れた宿場をも静かにして置かない。年寄役で、問
屋後見を兼ねている伏見屋の伊之助は例のように、宿役人一同を会所に集め、その混雑か....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ながら、二十余年の街道生活を床の上に思い出すような人であった。馬籠の年寄役、兼問
屋後見として、彼が街道の世話をしたのも一昔以前のことになった。彼の知っている狭い....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
なぞが茂って居る川沿いの径を通って、斗満橋の袂に出た。一坪程の小さな草舎がある。
屋後には熊の髑髏の白くなったのや、まだ比較的|生しいのを突き刺した棹、熊送りに用....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
れる薔薇の花半ばは落ちて、ほのかなる香は庭に満ちたり。いずくにも人の気はなくて、
屋後の松に蝉の音のみぞかしましき。 武男は※々に老爺に別れて、頭をたれつつ出で....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
、五千両巻きおわると犬は死んだ。これは、仏神が犬に化し、われを助くる事と思うて、
屋後の桑木の下に埋めた。夫の郡司たまたまその門前を通り、家内の寂寞たる様子を憐み....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
に伯奢喜んで二人をもてなし、自ら驢に乗りて西村へ酒買いに往く。夜やや更《ふ》けて
屋後に刀を磨《と》ぐ音す。曹操陳宮にこの宿主はわが真の親類でもなく、夜分出て往っ....
「竹の木戸」より 著者:国木田独歩
て」とお源は水を汲む手を一寸と休めて振り向いた。 「井戸辺に出ていたのを、女中が
屋後に干物に往ったぽっちりの間に盗られたのだとサ。矢張木戸が少しばかし開いていた....
「寒中滞岳記」より 著者:野中至
、真夜中に斫《き》るが如き寒冽なる強風を侵《おか》して暗黒《あんこく》裡《り》に
屋後《おくご》の氷山に攀《よ》じ登り、鉄槌《かなづち》を以て器械に附着したる氷雪....