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屋敷町
「屋敷町〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
屋敷町の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
縁《ゆかり》もない他人だと云う事が明かになった。その内にもう秋風が立って、城下の
屋敷町の武者窓の外には、溝を塞《ふさ》いでいた藻《も》の下から、追い追い水の色が....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
つかる気で、そのまま日盛を散歩した。 その気のついでに、……何となく、そこいら
屋敷町の垣根を探して(ごんごんごま)が見たかったのである。この名からして小児で可....
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
かに、豆粉をまぶした餅である。 賤機山、浅間を吹降す風の強い、寒い日で。寂しい
屋敷町を抜けたり、大川の堤防を伝ったりして阿部川の橋の袂へ出て、俥は一軒の餅屋へ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
の年紀で酸漿を鳴らすんだもの、大概素性も知れたもんだ、」と四辺近所は官員の多い、
屋敷町の夫人連が風説をする。 すでに昨夜も、神楽坂の縁日に、桜草を買ったついで....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
着いた。もう目の前の峰を越すと、あの見霽しの丘へ出る。……後は一雪崩にずるずると
屋敷町の私の内へ、辷り込まれるんだ、と吻と息をした。ところがまた、知ってる通り、....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
、一度ちょっと田畝道を抜けましたがね、穀蔵、もの置蔵などの並んだ処を通って、昔の
屋敷町といったのへ入って、それから榎の宮八幡宮――この境内が、ほとんど水源と申し....
「古狢」より 著者:泉鏡花
そこで川通りを、次第に――そうそうそう肩を合わせて歩行いたとして――橋は渡らずに
屋敷町の土塀を三曲りばかり。お山の妙見堂の下を、たちまち明るい廓へ入って、しかも....
「女客」より 著者:泉鏡花
薄ら蒼く見えるまで、戸外は月の冴えたる気勢。カラカラと小刻に、女の通る下駄の音、
屋敷町に響いたが、女中はまだ帰って来ない。 「心細いのが通り越して、気が変になっ....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
店の灯の映るのも、花の使と視めあえず、遠火で焙らるる思いがしよう、九時というのに
屋敷町の塀に人が消えて、御堂の前も寂寞としたのである。 提灯もやがて消えた。 ....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
と白く、且つ白麻の手巾で、ト肩をおさえて、熟と見た瞼の白露。 ――俊吉は、雪の
屋敷町の中ほどで、ただ一人。……肩袖をはたはたと払った。……払えば、ちらちらと散....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、で、根岸の里の雪の卯の花、水の紫陽花の風情はないが、木瓜、山吹の覗かれる窪地の
屋敷町で、そのどこからも、駿河台の濃い樹立の下に、和仏英女学校というのの壁の色が....
「有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
辺は殊に暗いので、お銀は家から用意して行った提灯のひかりを頼りに、傘をかたむけて
屋敷町の闇をたどってくると、向う屋敷の大銀杏が暗いなかにもぼんやりと見えた。 ....
「春」より 著者:岡本かの子
らさせる。加奈子は久しい前から、自分がついて行くにしても京子の散歩区域は裏通りの
屋敷町を安全地帯だと定めてしまっていた。去年の秋、田舎から出て来た女中のお民は年....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
て夫へ言訳のため、死んでおわびは草葉の蔭と、雨に出て行く夜空の涙…… それから
屋敷町の暗夜へ忍んだ、勿論、小禄らしい。約束の礫を当てると、男が切戸から引込んで....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
、すぐ向うが高台の町の崖つづきで、その下をお城の用水が瀬を立てて流れます。片側の
屋敷町で、川と一筋、どこまでも、古い土塀が続いて、土塀の切目は畠だったり、水田だ....