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屋敷風
「屋敷風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
屋敷風の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
接している「町風《まちふう》」は「いき」として許されるが、自分から疎隔している「
屋敷風」は不意気である。うぶな恋も野暮である。不器量な女の厚化粧も野暮である。「....
「岩石の間」より 著者:島崎藤村
一層ハッキリと高瀬の眼に映って来た。 先生の住居に近づくと、一軒手前にある古い
屋敷風の門のところは塾の生徒が出たり入ったりしていた。寄宿する青年達だ。いずれも....
「家」より 著者:島崎藤村
家を出た。彼の足は往時自分の先生であったという学校の校長の住居の方へ向いた。古い
屋敷風の門を入って、裏口へ廻ってみると、向の燕麦を植えた岡の上に立ってしきりと指....
「都会地図の膨脹」より 著者:佐左木俊郎
ゃ置けねえようですよ。目障りで……」 河上は地主仲間に言っていた。 「一つ、お
屋敷風に建てかえるとしますかな? この町中さ、茅葺は、どうもね。」 彼等は市街....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
いる。年の頃は十八、九、恐怖で顔は蒼褪めていたが、それがまた素晴らしく美しい、お
屋敷風の娘であった。 しばらくは口も利けないと見えて、ワナワナ体を顫わせるばか....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
寄って、誰へのみやげか、新版の錦絵を買い求めながら、ふと傍《かたえ》を見ると、お
屋敷風の小娘が一人、十冊ばかりの中本《ちゅうほん》の草紙を買い求めて、それを小風....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
出した潰《つぶ》し島田に赤い手がら、こってりしたあだものの粋づくり、どう見てもお
屋敷風ではない、がこれは昼の時の姿とは打って変ったお蘭の方の閨《ねや》の装いでし....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
を知らず、まだ新しい木標《もくひょう》の前に近づくと、二人のうち、案内に立ったお
屋敷風の小娘が、 「ここでございます」 で、手にかかえていた阿枷桶《あかおけ》を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
でなければ、化物退治にでも来た意気込みでおとのうて見ると、応対に出るのが妙齢なお
屋敷風のお松ですから、さすがの武者修行がタジタジで、 「ははあ、では、あなたは机....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
に宿を求めようとしました。そうしてこの幾棟かの家屋のうちの、最大の、最良の、御殿
屋敷風なのを選んで、戸を排してみると厳しく釘づけになっているが、それを合点《がて....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
た。そこは、床《ゆか》に板石がしいてあり、かっかと燃える、むき出しの炉で(田舎の
屋敷風に)暖められ、樫の高価な用箪笥が備えつけてあった。「ここの暖炉のそばでお待....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
を台所の隅で頂かせる家もあるように聞いている。これは小商人及び給金取りのいわゆる
屋敷風の家庭に最も多いとのことである。これに反して昔風の堅気の商家では、旦那を初....
「歌麿懺悔」より 著者:邦枝完二
肌は、年増盛りの愈※冴えて、わけてもお旗本の側室となった身は、どこか昔と違う、お
屋敷風の品さえ備わって、恰も菊之丞の濡衣を見るような凄艶さが溢れていた。 が、....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
その深川《ふかがわ》と吉原《よしわら》なるとを問わず、あるひは町風《まちふう》と
屋敷風とを論ぜず、天保以後の浮世絵美人は島田崩《しまだくず》しに小紋《こもん》の....