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屋根板
「屋根板〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
屋根板の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
力車を大塚のほうに走らした。
五年たっても昔のままの構えで、まばらにさし代えた
屋根板と、めっきり延びた垣添《かきぞ》いの桐《きり》の木とが目立つばかりだった。....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ゅうにまくしあがっていた。ある家は目に立って零落していた。あらしに吹きちぎられた
屋根板が、いつまでもそのままで雨の漏れるに任せた所も少なくない。目鼻立ちのそろっ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
とも、構うものか」 若者の立ち上がる気勢がした。 屋根をひっぺがす音がした。
屋根板を投げる音がした。しばらくそれが継続した。 「もうよかろう」 「うんよかろ....
「西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
したは、鼠色だか皮色だか訳の分らん胴巻様の三尺の中から、捻紙でぎり/\巻いてある
屋根板様のものを取出し、捻紙を解き、中より書附を出し、開いてにやりと笑い、又元の....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
窓へおおいかぶさったような陰気なところだ。どうかするとはげしい風雨にねて木小屋の
屋根板ぐらいははね飛ばすほどの力を持った青々とした竹の幹が近くにすくすくと群がり....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
、坐りもあえず、あの峰へ、と山に向って、膝を宙に水を見ると、肱の下なる、廂屋根の
屋根板は、鱗のように戦いて、――北国の習慣に、圧にのせた石の数々はわずかに水を出....
「野道」より 著者:幸田露伴
らないことだ。が、教えられていたから、妻に対って、オイ、二三枚でよいが杉の赤身の
屋根板は無いか、と尋ねた。そんなものはございません、と云ったが、少し考えてから、....
「菜穂子」より 著者:堀辰雄
グに引き裂いた。と思うと、そのあたりで凄《すさ》まじい雷鳴がした。それから突然、
屋根板に一つかみの小石が絶えず投げつけられるような音がしだした。……私たちはしば....
「楡の家」より 著者:堀辰雄
グに引き裂いた。と思うと、そのあたりで凄《すさ》まじい雷鳴がした。それから突然、
屋根板に一つかみの小石が絶えず投げつけられるような音がしだした。……私たちはしば....
「東上記」より 著者:寺田寅彦
立つ人見送る人|人足船頭ののゝしる声々。車の音。端艇|涯をはなるれば水棹のしずく
屋根板にはら/\と音する。舷のすれあう音ようやく止んで船は中流に出でたり。水害の....
「怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
僕は自分のきているジャケツの毛糸を解き、その毛糸を幾本かあつめて撚糸にし、また、
屋根板から一本の釘を抜取って、これを曲げて釣針をつくって釣りをした。 はじめ、....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
人がいるんだ。後を待っている。すぐに洗わなけりゃ流行《はや》らなくなってしまう。
屋根板がよく合わさっていないので、どこからでも雨がもる。上着や下着は皆びしょぬれ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
グールメルはガヴローシュの片腕をつかんで、彼を板小屋の屋根にのせた。虫食ったその
屋根板は子供の重みにしなった。それからグールメルは、モンパルナスのいない間にブリ....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
布の古川橋から三之橋《さんのはし》に至る間の川筋であろう。ぶりき板の破片や腐った
屋根板で葺《ふ》いたあばら家《や》は数町に渡って、左右から濁水《だくすい》を挟《....
「審判」より 著者:カフカフランツ
すのよ。ここは初めてですの? そうね、それなら珍しいことじゃないわ。太陽がここの
屋根板を照りつけますし、熱くなった木が空気をうっとうしく、重苦しくするんです。で....