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属官
「属官〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
属官の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「行人」より 著者:夏目漱石
の滑《なめ》らかな、遠見《とおみ》の大変好い女であった。父が勤めていたある官省の
属官の娘で、その頃は時々勝手口から頼まれものの仕立物などを持って出入《でいり》を....
「琴のそら音」より 著者:夏目漱石
。七円五十銭の家賃の主人なんざあ、主人にしたところが見事な主人じゃない。主人中の
属官なるものだあね。主人になるなら勅任主人か少なくとも奏任主人にならなくっちゃ愉....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
よく顔も見なかったのがこっちの越度で、人品骨柄を見たって知れる――その頃は台湾の
属官だったが、今じゃ同一所の税関長、稲坂と云う法学士で、大鵬のような人物、ついて....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
して、迅雷一声奥より響いて耳の太き下女手に持つ庖丁取り落とし、用ありて私宅へ来る
属官などはまず裏口に回って今日の天気予報を聞くくらいなりし。 三十年から連れ添....
「連環記」より 著者:幸田露伴
していたことであろう。任地の三河にあっては第一の地位の三河守であり、自分のほかは
属官僕隷であり、行動は自由であり、飲食は最高級であり、太平の世の公務は清閑であり....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
関する事務にも関係したのである。その頃の白洲というは罪人を訊問する処で、刑法課の
属官が主任となり、その下に同心とか、手先とかが囚人を直接に取扱った。故に権少参事....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
ろで、この人は別に知己として面会に来ていたわけではなく、ある種の報告を持って来た
属官という資格でしたから、彼の長官の僕に対する応対ぶりを見て、幾分打ち解けた態度....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
のものは、あすこに、下のほうにある。 四九 裁判官だか検察官だか
属官だか、どういう種類のものか私にはわからないが、一人やってきた。私は両手を合わ....
「役人学三則」より 著者:末弘厳太郎
ことでないことはいうまでもない。すべての行政事務が実質的には比較的教養の足りない
属官らの手中ににぎられて、長官はただ自身の出世を目標としつつ形式上その上に短期間....
「頸飾り」より 著者:辻潤
者など誰一人行きたがらぬものはないが、これを貰ったのはごく少数の人なので、たかが
属官風情の私などが出席できるというのは、殆ど異例といってもよい位なものさ。とにか....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
」 「そうは考えません。反暴力思想があるとは考えていますが。」 憲兵隊員が県の
属官に耳うちした。すると
属官がまた課長に耳うちした。課長は上気した顔をしてそれを....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
幸太夫に継いでの露国探険者たる一代の奇矯児寿安老人であった。局長といい課長といい
属官というは職員録の紙の上の空名であって、堂々たる公衙はあたかも自大相下らざる書....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
して、貧民はみなその日暮らしにて、毫も貯蓄せんと欲するものなしという。午後、文部
属官の案内にて、医科大学および実科師範校を参観す。実科中に木工科、体操科、割烹科....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
でいて、此方には口一つきかせないで、一人で埒もなく喋るのである。そこで、その間に
属官が三度ばかりきまってコツコツとノックするのだ。 廊下へ出ると、F君が、ああ....
「狐」より 著者:永井荷風
に下女を泣かした父が役所の下役、内證《ないしょう》で金貸《かねかし》をもして居る
属官《ぞっかん》である。父はこの淀井を伴い、田崎が先に提灯《ちょうちん》をつけて....