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屠所の羊
「屠所の羊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
屠所の羊の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
主人は白を抱き上げて八幡下に立って遙に目送して居る主婦に最後の告別をさせた。白は
屠所の羊の歩みで、牽かれてようやく跟いて来た。停車場前の茶屋で、駄菓子を買うてや....
「暗黒公使」より 著者:夢野久作
ども志免警部と三人の刑事は私よりももっと失望したらしく、先程の元気はどこへやら、
屠所の羊ともいうべき姿で、私の前に来て思い思いにうなだれた。 「一体どうしたのだ....
「人間腸詰」より 著者:夢野久作
られていたんですなあ。節劇の文句じゃ御座んせんが「殺されるとは露知らず」でゲス。
屠所の羊どころじゃねえ。大喜びで腸詰になりに行ったんですからね。 博覧会の会場....
「戦場」より 著者:夢野久作
を先頭にした一列縦隊に変化した。そうして一方は元気よく、勝誇ったように……一方は
屠所の羊のように、又は死の投影のように頸低れて、気絶した仲間を扶け起し扶け起し、....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
。途中で溝の中の蛙をイジメたり、白|蓮華を探したりして、道草を喰い喰い、それこそ
屠所の羊の思いで翁の門を潜ると、待ち構えている翁は虎が兎を掠めるように筆者を舞台....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
五 恩になる姫様、勇美子が急な用というに悖い得ないで、島野に連出されたお雪は、
屠所の羊の歩。 「どういう御用なんでございましょう。いつも御贔屓になりますけれど....
「活人形」より 著者:泉鏡花
か。「あれ。と下枝は引立られ、殺気満ちたる得三の面色、こは殺さるるに極ったりと、
屠所の羊のとぼとぼと、廊下伝いに歩は一歩、死地に近寄る哀れさよ。蜉蝣の命、朝の露....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
や濠の橋を又八道心はうつつで越えた。 沢庵の後に尾いて悄々と歩く彼の足つきは、
屠所の羊という形容をそのまま思わせる姿だった。 ――なむあみだぶつ ――なむ....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
帯行為となるからだった。 ――が、今となっては、あらゆる悔いも慚愧も及ばない。
屠所の羊みたいな恰好で、市十郎は、傲岸なかれの姿に従いて薄暗い梯子段を、元の裏二....