屠蘇[語句情報] » 屠蘇

「屠蘇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

屠蘇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
文放古」より 著者:芥川竜之介
るのよ。それが大《だい》のピュリタンなの。ピュリタンなのは好《い》いけれども、お屠蘇《とそ》も碌《ろく》に飲めない癖に、禁酒会の幹事をしているんですって。もとも....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
蔵助は微笑した。この正月の元旦に、富森助右衛門《とみのもりすけえもん》が、三杯の屠蘇《とそ》に酔って、「今日も春恥しからぬ寝武士かな」と吟じた、その句がふと念頭....
恩を返す話」より 著者:菊池寛
あくる寛永十五年の元朝《がんちょう》は、敵味方とも麗かな初日を迎えた。内膳正は屠蘇《とそ》を汲み乾すと、立ちながら、膳を踏み砕いて、必死の覚悟を示した。 こ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
敷へ通されて、年頭の挨拶が式《かた》のごとくに済むと、おなじみの老婢《ばあや》が屠蘇の膳を運び出して来た。わたしがここの家で屠蘇を祝うのは、このときが二度目であ....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
白い鶏の生んだ卵が半分に切ってあり、黄色鮮かなり。牛蒡蓮里芋の煮つけの大皿あり、屠蘇はなけれど配給のなおし酒は甘く子供よろこびてなめる。 私五十、妻三十八 ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
儀正しく新年の寿を述べられて、書生流のわたしは少し面食らった。そのうちに御祝儀の屠蘇が出た。多く飲まない老人と、まるで下戸の私とは、忽ち春めいた顔になってしまっ....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
糸織りの二枚小袖に黒斜子の三つ紋の羽織をかさねて、行儀よく坐っていた。お定まりの屠蘇や重詰物もならべられて、主人も客もその顔をうすく染めていた。主人に対して新年....
星女郎」より 著者:泉鏡花
の時境は煎茶に心を静めていた。 「御馳走は……しかも、ああ、何とか云う、ちょっと屠蘇の香のする青い色の酒に添えて――その時は、筧の水に埃も流して、袖の長い、振の....
離魂病」より 著者:岡本綺堂
東京にインフルエンザが非常に流行した。その正月に西岡は叔父のところへ年始に来て、屠蘇から酒になって夜のふけるまで元気よく話して行った。そのときに彼は言った。 「....
座右第一品」より 著者:上村松園
から今年は一つ元日から勉強してやりましょう、というような感激に満ちた気持ちで、お屠蘇を祝うと朝から博物館に通ったこともありました。近い頃ですと、お正月五日間ぐら....
正月の思い出」より 著者:岡本綺堂
った、買った」と呶鳴る勢いで、その勝った勝ったの戦捷気分が新年に持越して、それに屠蘇気分が加わったのであるから、去年の下半季の不景気に引きかえて、こんなに景気の....
炭焼長者譚」より 著者:喜田貞吉
風に考えられていたかということを民族的に考えてみたことがあるので、この辛酉新年の屠蘇機嫌の筆始めに、その感想を書きとめておくこととする。これが活字によって読者の....
雑煮」より 著者:北大路魯山人
よいと思う。また、不細工に大きな餅のはいっているのはおもしろくない。ことに朝から屠蘇機嫌でいるところへ大きいのを出すのは気が利かない。 料理屋で出す小型マッチ....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
朝、船中に新年拝賀式あり。船長の発声にて両陛下の万歳を三唱しおわり、雑煮を味わい屠蘇を傾け、さらに領事館に至りて新年の遥拝をなし、午後市外の散策を試み、水族館に....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
差別方面を眺めた形であります。例えば一軒の家庭に在っては、主人が正月、家族一同に屠蘇の盃を与える場合であります。妻子、召使いめいめい差別はあるが、この場合には同....