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層一層
「層一層〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
層一層の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「坑夫」より 著者:夏目漱石
時に右の足を一尺上げた。カンテラの灯《ひ》は暗い中を竪《たて》に動いて行く。坑は
層一層《そういっそう》と明かるくなる。踏み棄《す》てて去る段々はしだいしだいに暗....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
精神上に受けた深い疵傷は長く自分を苦しめることになった。罪を知っているだけ苦痛は
層一層苦痛だ。この苦痛からまぬがれたいばかりでも、借りた金はいっときも早く返した....
「能とは何か」より 著者:夢野久作
で、前に云った養子が幸いにして前代以上の芸を養い、第二代の家元を継ぐ事になると、
層一層、自奮自励して流風を向上させ、倍一倍絶妙の境界に達する。そうすると彼は又、....
「平塚さんと私の論争」より 著者:与謝野晶子
になる老衰者や癈人と同じ不幸な依頼主義者として、国家の特殊なる保護を要求する者が
層一層繁殖して行く結果となるでしょう。 さなきだに、私は、近頃の都会において、....
「平塚・山川・山田三女史に答う」より 著者:与謝野晶子
意味において、私は資本主義的経済関係に束縛されている現在の低級な人類生活を、更に
層一層よりしたら好いかという問題を中心としている」といわれたのは、それは花の日会....
「階級闘争の彼方へ」より 著者:与謝野晶子
少数の労働者とが協力して、製品の価格を不法に吊上げ、大多数の消費者たる無産階級を
層一層物価の暴騰に由って苦める結果を生じます。 例えば私たちのような文筆の職業....
「関牧塲創業記事」より 著者:関寛
びて、 西風吹送野望清 万樹紅黄色更明 扶杖草鞋移歩処 只聞山鳥与渓声 此れより
層一層の勤倹を守り、一身を苦境に置くに勇進せり。 十九日、瑞※号|種牡馬の検査合....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
構えていて、両者がグルになって、地上の堕落せる人間に働きかけるから、人間の世界は
層一層罪と、汚れの地獄と化して行く……。そしてかかる惨劇の起る動機はと問えば、多....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
す。
朝夕道場に起き伏ししているうちに、チラチラと萩乃を遠見する機会もおおい。
層一層、想いはつのる一方で、ついには、
「すまぬことながら、わが君源三郎様さえ亡....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ません。そして私はそういういろいろの瑞々しい活々とした感情の故に、おかあさんを一
層一層可愛く身に近く、同じように熱い血をもっている女性として愛します。そういう心....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ともにして下さるでしょう。立ち直るようにという願いをともにして下さいましょう。一
層一層生活の大切なということを感じます。自分の一生であるが、人間としての一生とい....
「随筆 寄席囃子」より 著者:正岡容
り、柳桜門下にはせ参じた。だのにこの男、一向に売れなかったという挿話に至っては、
層一層とおもしろかった(この男が久保田万太郎氏の『末枯』の扇朝、すなわち春風亭梅....
「近作鉢の会に一言」より 著者:北大路魯山人
対に未熟ではあるが気韻生動して作陶に生命あるものとなされるならば、私は欣然として
層一層研究を進め後進青年達各位のためになにか遺さなければならんと思っているものであります。....
「鴉」より 著者:シュミットボンウィルヘルム
黙していながら、絶えず動いている、永遠なる自然に向って来るのである。河は数千年来
層一層の波を、絶えず牧場と牧場との間を穿って下流へ送っている。なんの目的で河が流....
「三百年後」より 著者:小倉金之助
のだから、三百年後のことは見当も付き兼ねるが、しかし三百年後のわが日本は、文運も
層一層隆々として栄えることと想像される。 そうすると、其の頃になっても、私と同....