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層楼
「層楼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
層楼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「草枕」より 著者:夏目漱石
つぼ》は地《じ》の下にあるのだから、入湯《にゅうとう》と云う点から云えば、余は三
層楼上に起臥《きが》する訳になる。 家は随分広いが、向う二階の一間と、余が欄干....
「河明り」より 著者:岡本かの子
と云った。 この橋から間もなく、河口の鵜の喉の膨らみのようになっている岸に、三
層楼の支那の倉庫店がずらりと並び、河には木履型のジャンクが河身を埋めている。庭の....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ような雷鳴が鈍く懶気に轟いてくる。そういう暗澹たる空模様の中で、黒死館の巨大な二
層楼は――わけても中央にある礼拝堂の尖塔や左右の塔櫓が、一|刷毛刷いた薄墨色の中....
「丸善と三越」より 著者:寺田寅彦
そしてこのわれわれの衣食住の必要品やぜいたく品を所狭くわずらわしく置きならべた五
層楼の屋上にこの小楽園を設くる事を忘れなかった経営者に対してたとえ無自覚にしろ一....
「写生紀行」より 著者:寺田寅彦
しい武蔵野をどこまでもと蚕食して行くのである。こんなにしなくても市中の地の底へ何
層楼のアパートメントでも建てたほうがよさそうに思われる。そうしないと、おしまいに....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た、エジプトの大|墓窟《ぼくつ》、ノールウェーの農家、修道院、城楼、万国博覧会の
層楼、生気のない顔と一つの巨大な眼をもってる、地面にもぐり込んだ無脚のふくれ上が....
「見えざる人」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
て行った。家並の上にはまた家並がつづき、そして彼等の目ざす塔のように特別に高い何
層楼という建物は、今金色の日没をうけて埃及の建築物のように高く上空に輝いていた。....
「三甚内」より 著者:国枝史郎
どこへ行ってもモテルのであった。通された常時の座敷というは、この時代に珍らしい三
層楼で、廓内の様子が一眼に見える。 やがて山海の珍味が並ぶ。 山海の珍味と云....
「田沢稲船」より 著者:長谷川時雨
奥山閣から――花屋敷とよばれた中にあった、宇治の鳳凰堂《ほうおうどう》のような五
層楼――凌雲閣を睨《にら》む人に正直正太夫《しょうじきしょうだゆう》の緑雨醒客《....
「偽刑事」より 著者:川田功
に大きなデパートメントストーアーが見出された。屋上の塔では旗が客を招いて居った。
層楼の窓は無数の微笑を行人に送った。彼女は役人が登庁する時の様に、何の躊躇もなく....
「旅の旅の旅」より 著者:正岡子規
末枯や覚束なくも女郎花 熱海に着きたる頃はいたく疲れて飢に逼《せま》りけれども
層楼高閣の俗境はわが腹を肥やすべきの処にあらざればここをも走り過ぎて江《え》の浦....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
堂の外に出ると僧舎が沢山あって僧侶が五百名程住んで居るそうです。で南の方の大なる
層楼に住んで居る当寺の大教師はチャンバ・パーサン・チンレーという人でこの五百人の....
「西航日録」より 著者:井上円了
三十二階に達し、浅草十二階の三倍なり。ゆえに余、一吟して曰く、 街路如碁十里連、
層楼処処欲衝天、通宵不断電車響、残夜猶驚孤客眠。 (街路は碁盤のごとく十里も連な....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
に五百羅漢、道教寺院、仏教寺院、陳氏祖廟、富豪墓所等を一巡し、丘上なる鎮海楼(五
層楼)上にのぼりて休憩し、小餐を喫す。楼上にありて一望するに、カントン全市眼下に....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
しているのが眼につくであろう。仰げば近く酒井邸前の矢来通りに、堂々たる新潮社の四
層楼が、わが国現代文芸の興隆発達の功績の三分の一をその一身に背負っているとでもい....