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「層雲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

層雲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
れている。だいたいこれは、気象学の法則にないことで、二万五千フィートの上空には巻層雲しかない。それが、時には雷を鳴らし電光を発し、大氷嶺上で時ならぬ噴火のさまを....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
その時、あの滅入るような黄昏が始まっていた。八ヶ岳よりの、黒い一|刷毛《はけ》の層雲の間から、一条の金色をした光が落ちていて、それは、瀑布をかけたような壮観だっ....
貞操問答」より 著者:菊池寛
なしに、暮してしまった。 九月も、半ばになった。 空は、一面にどんよりとした層雲で包まれているのに、街の裾から、カッと落日の光がさし込んで、暗い通りに、建物....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
た。 そうして、死んだような鉛色の空の下で、流氷の間を縫い行くうちに、ある朝、層雲の間から、不思議なものが姿を現わした。 その暗灰色をした、穂槍のような突角....
地上」より 著者:島田清次郎
い空と黒藍の海に吸われて、闇が平野一面に這い拡がっていた。曇った鈍い空には月光が層雲の間から射すのみで月は見えなかった。血を騒がす異様な蒸し暑さが充ちる夜であっ....
赤い壺」より 著者:種田山頭火
きているのは、屡々、生存慾のためよりも苦痛の底の甘味を解している故である。 (「層雲」大正五年一月号)....
赤い壺(三)」より 著者:種田山頭火
肉のあさましさ。 犠牲という言葉のためにはあまりに多くの犠牲が払われた。 (「層雲」大正五年三月号)....
赤い壺(二)」より 著者:種田山頭火
小児を可愛がる国民はない。そして日本人ほど小児の心を理解しない国民はない。 (「層雲」大正五年二月号)....
砕けた瓦」より 著者:種田山頭火
○ 酔わないうちに胃が酒で一杯になった、ということは悲しい事実である。 (「層雲」大正三年九月号)....
三八九雑記」より 著者:種田山頭火
が来ることを祈ります。 広島逓友の大山澄太氏から『青空を戴く』を戴いた。氏へは層雲を通して親しみを持っていたが、こうしてまとめられた文と句とをしみじみ読み味わ....
層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
層雲峡の偉観 富士山に登って、山岳の高さを語れ。大雪山に登って、山岳の大さを語....
天才」より 著者:神西清
である。庭はもうすっかり秋の眺めになっている。重苦しい、すこぶる拙く出来あがった層雲が、折角の大空を台なしにしている。肌を刺し貫くような冷たい風が吹き、樹木は情....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
、山の膚に薄く白いものを残して消え去ってしまった。空は真綿を引伸したような高い巻層雲に掩れているけれども、眺望は次第に開けて、さし添う日光と共に体も漸く汗ばんで....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
り雲の褥を幾枚か重ねて端然と坐っている。富山平原から日本海の方面へかけては、早や層雲の幕が秋の大水のように拡がってしまった。 劒の左の肩から東へ引き落した線は....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
焚火がパチパチ音を立てて燃えている。天幕から出て空を仰ぐと、曇ってはいるが高い巻層雲だ、眺望は四方に開けていた。間近い劒の八ツ峰から三窓の頭へかけて簇立した岩峰....