履く[語句情報] »
履く
「履く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
履くの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の盗賊」より 著者:太宰治
、板|草履《ぞうり》をはいているので私は、むっとした。 「君、失敬じゃないか。草
履くらいは、脱ぎたまえ。」 どろぼうは素直に草履を脱ぎ、雨戸の外にぽんと放擲《....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
している。しかし、この着物と素足との関係は、全身を裸にして足だけに靴下または靴を
履く西洋風の露骨さと反対の方向を採《と》っている。そこにまた素足の「いき」たる所....
「藁草履」より 著者:島崎藤村
を休ませて置いて、炉辺で握飯をこしらえました。父親も不幸な悴《せがれ》の為に明日
履く草鞋《わらじ》を作りながら、深更《おそく》まで二人で起きていたのです。度を過....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
気がついているだろうが、その二つの足型を採証的に解釈してみると、大男のレヴェズが
履く套靴の方には、さらにより以上|魁偉な巨人が想像され、また、侏儒の園芸靴を履い....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
一〇・一五藤橋 二・二〇材木坂頂 四・〇〇ブナ坂避難小屋 藤橋の手前でスキーを
履く。積雪二尺。例の雪崩の出るところはちょっと悪い。あの附近は高山と違って真冬で....
「貧しき人々の群」より 著者:宮本百合子
ちゃにされた甚助の子は、気違いのようになっていた。 肌脱ぎになり、両手に草履を
履くと、善馬鹿の体中を叩きながら、訳の分らないことを叫んで踊り出した。 「や! ....
「大阪を歩く」より 著者:直木三十五
駄をはいて、この寒いのに――(実際、私は、五尺五寸六七分あるから、三寸の高下駄を
履くと、五尺八寸以上になる。こんな高い風景は、ビルディングの外、賞玩に価しない。....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
行きますが、島田と多賀ちゃんにおついでの折お礼を、ね。栄さんたちもおよろこびに草
履くれました。うれしいわ。二足のうち、どちらかは役に立ちましょうから。もう、もと....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
事や、そして又、人間の足首で言うと恰度蹠骨尖端の下部に当る処なんだが、あの少女の
履くポックリの前底部を一寸思い出させる様なこの靴跡の前の部の局部的な強い窪み方―....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
履だ」
と、背を突いた。
「何?」
池上は、振返って、睨みつけた。
「草履を
履くのだ」
「いえばわかる。何故、背中を突いた」
「黙って、早く行け」
「行かん....
「誘拐者」より 著者:山下利三郎
隔てて御主人の居間と向合うて二階が弟さんの御部屋か……」こう呟いて沓脱の駒下駄を
履くと、グルッと庭を廻って座敷の裏手へ出た、そこは納屋と空地があり、忍返しのつい....
「ある恋の話」より 著者:菊池寛
ものでしたが、おまけにその木履の胴が刳貫になっていて、祖母が駕籠から下りて木履を
履く時には、ちゃんとその中に湯を通して置くと云う、贅沢な仕掛になっているそうであ....
「快走」より 著者:岡本かの子
腿がだるく張った感じだった。道子は立上って廊下を歩き出した。そのまま玄関で下駄を
履くと、冬晴れの午後の戸外へ出てみた。 陽は既に西に遠退いて、西の空を薄桃色に....