山の井[語句情報] » 山の井

「山の井〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

山の井の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
霜凍る宵」より 著者:近松秋江
か、今までの温順しく沈んでいた様子とはやや変った調子になって、 「あんたはん何で山の井さんへいて、その話をしておもらいやさんのどす」と、神経質の口調で不足らしく....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
子の家の雰囲気が、何となく不安な感じを与えたからであった。 浴衣は潮色の地に、山の井の井桁と秋草とを白で抜いたものだったが、葉子にもよく映るような柄合いであっ....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
の海 古妻の昔を語る月夜かな 空家に下駄で上るや秋の雨 初潮を汲む青楼の釣瓶かな山の井や我顔うつる秋の水 提灯で見るや夜寒の九品仏 山越や馬も夜寒の胴ぶるひ 堂....
源氏物語」より 著者:紫式部
ともあった。例の中に封じたほうの手紙には、 浅香山浅くも人を思はぬになど山の井のかけ離るらん この歌が書いてある。返事、 汲《く》み初《そ》めてく....
源氏物語」より 著者:紫式部
《う》き 古い歌にも「悔《くや》しくぞ汲《く》みそめてける浅ければ袖のみ濡るる山の井の水」とございます。 というのである。幾人かの恋人の中でもすぐれた字を....
源氏物語」より 著者:紫式部
べしがてらまづや渡らん それが許されましたなら影さえ見ゆる(浅香山影さへ見ゆる山の井の浅くは人をわれ思はなくに)の歌の深い真心に報いられるというものです」 ....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
るのは人間共通の合致であるだろう。 ○ 安積山影さへ見ゆる山の井の浅き心を吾が思はなくに 〔巻十六・三八〇七〕 前の采女某 葛城王が陸奥....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
足のわるい方。その方夫婦がこの節は一緒らしいのよ。すすむさんというお兄さんは、徳山の井村さん(銀行の人)の親戚で只一人娘さんだけのこった家へ養子に行ったそうです....
清心庵」より 著者:泉鏡花
穂|打靡きて、肩のあたりに秋ぞ染むなる。さきには汗出でて咽喉渇くに、爺にもとめて山の井の水飲みたりし、その冷かさおもい出でつ。さる時の我といまの我と、月を隔つる....
三枚続」より 著者:泉鏡花
るぶると顫えて突立ったが、愛吉は血だらけになっていたのである。 築地|明石町に山の井|光起といって、府下第一流の国手がある、年紀はまだ壮いけれども、医科大学の....
式部小路」より 著者:泉鏡花
たが、一体何となく継穂のない、素気ない返事だと思ったんですが、もっともだ。じゃ、山の井先生のために、この病院長が、全院を警戒して秘密にしたんだ。」 「そうでがす....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
いうような荒涼たる光景であった。わたしの家の裏から出てゆく露地の入口に、むかしは山の井という駕籠屋で、今はおかみさんが女|髪結をしている家の奥の間を借りている、....