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「山の手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

山の手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
はいられなかった。しかし又、本所以外の町々は更に彼には不快だった。しもた家の多い山の手を始め小綺麗《こぎれい》な商店の軒を並べた、江戸伝来の下町も何か彼を圧迫し....
犬と笛」より 著者:芥川竜之介
ようと思ってやって来た。何か欲しいものがあるのなら、遠慮なく言うが好い。己は葛城山の手一《てひと》つの神だ。」と言いました。 そうして髪長彦が、また「嗅《か》....
大川の水」より 著者:芥川竜之介
楊柳《ようりゅう》の葉のごとく、おののかせたことであろう。 この三年間、自分は山の手の郊外に、雑木林《ぞうきばやし》のかげになっている書斎で、平静な読書|三昧....
或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
った、その上道楽に小説くらいは見る、色の浅黒い好男子なのです。新婚の二人は幸福に山の手の邸宅に暮している。一しょに音楽会へ出かけることもある。銀座通りを散歩する....
魚河岸」より 著者:芥川竜之介
どこかいなせな風格があった。下町気質《したまちかたぎ》よりは伝法《でんぼう》な、山の手には勿論縁の遠い、――云わば河岸の鮪《まぐろ》の鮨《すし》と、一味相通ずる....
卑怯者」より 著者:有島武郎
青黄ろく澄み渡った夕空の地平近い所に、一つ浮いた旗雲には、入り日の桃色が静かに照り映《は》えていた。山の手町の秋のはじめ。 ひた急ぎに急ぐ彼には、往来を飛びまわる子供たちの群れが....
婦系図」より 著者:泉鏡花
まさ。」 「女房が寄せつけやしまい、第一|吃驚するだろう、己なんぞが飛込んじゃ、山の手から猪ぐらいに。所かわれば品かわるだ、なあ、め組。」 と下流へかけて板の....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
の引火奴に礫が飛ぶと、そのままチリチリと火の粉になって燃出しそうな物騒さ。下町、山の手、昼夜の火沙汰で、時の鐘ほどジャンジャンと打つける、そこもかしこも、放火だ....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
ているばかりなのである。 また、近頃の色恋は、銀座であろうが、浅草であろうが、山の手新宿のあたりであろうが、つつしみが浅く、たしなみが薄くなり、次第に面の皮が....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
板塀建て廻されぬ。 そのあたりの家はみな新木造となりたり。小路は家を切開きて、山の手の通りに通ずるようなしたれば、人通いと繁く、車馬の往来|頻なり。 ここに....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
にも、これといって容式をお目に掛ける知己がない。遠いが花の香と諺にもいう、東京の山の手で、祇園の面影を写すのであるから、名妓は、名妓として、差支えないであろう。....
遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
峰の高仙人、願くは木の葉の褌を緊一番せよ。 さりながらかかる太平楽を並ぶるも、山の手ながら東京に棲むおかげなり。 奥州……花巻より十余里の路上には、立場三ヶ所....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
ように、桃色の雲、一刷け、桜のたなびくのが見えると、土地で言います。――町のその山の手が、娘のうまれた場所なのです。 (私は、うちにお父さんと、お爺さんが。) ....
三枚続」より 著者:泉鏡花
しまってりゃ附合がむずかしい? べらぼうめ、憚んながら大橋からこっちの床屋はな、山の手の新店だっても田舎の渡職人と附合はしねえんだ、おともだち、お気の毒だが附合....
式部小路」より 著者:泉鏡花
張ったり、床屋に貸しておくほどの差配人、奴の身上を知っていて断ったりで、とうとう山の手へお鉢をまわすと、近所迷惑。あいにくとまたこの音羽続きの桜木町に一軒明いた....