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山塊
「山塊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
山塊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
山系はあまりに低いので、広い野に突禿《とつとく》として擡《もた》げ出された独立の
山塊にしか見えない。母体の山脈は、あとに退き、うすれ日に透け、またはむれ雲の間か....
「新生」より 著者:島崎藤村
な》えた。その八日の朝初氷が張った。二十二日以後は完全な冬季の状態に移って、丹沢
山塊から秩父《ちちぶ》連山にかけて雪の色を見る日が多くなった。風がまたひどく吹い....
「地球盗難」より 著者:海野十三
はむしろ不適当で、人造山岳地帯といった方がいいかもしれない。たとえていうと、箱根
山塊を三百メートル四方ぐらいの大きさに人造的に縮小した大仕掛けの箱庭とでもいった....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
けれども、それが地理的に接近しているのは、ちょうどその中心に、主産地であるエルツ
山塊があるためにほかならないのだ。しかし、要するに、あの千古の神秘は、一場の理化....
「小田原陣」より 著者:菊池寛
国峠あたりから見ると、山中は湯河原なんかと丁度反対側の小集落だ。併しとに角、箱根
山塊の一端だから「今日箱根峠に打ち登り候」と子供の様に喜んで居るのだ。又それだけ....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
、林に入る頃には、前山に近くなっただけ、頭をちょっと出して、直ぐ引っ込んだ、常念
山塊には、雲が鮨でも圧すように、平ったく冠さって、その隙間から、仏手柑のような御....
「淪落の青春」より 著者:坂口安吾
田地は召しあげられて米は配給になってしまった。然し彼は標高一四五〇|米という
山塊を屋敷の背中にひかえ、又、谷を距てた前面にも標高一二八〇米から一一〇〇米ぐら....
「初雪」より 著者:秋田滋
長いクロワゼットの散歩路が、あおあおとした海に沿うて、ゆるやかな弧を描いている。遥か右のほうに当って、エストゥレルの
山塊がながく海のなかに突き出て眼界を遮り、一望千里の眺めはないが、奇々妙々を極め....
「岩魚の怪」より 著者:田中貢太郎
そこは木曾の御嶽つづきの山の間で、小さな谷川の流れを中にして両方から迫って来た
山塊は、こっちの方は幾らか緩い傾斜をして山路なども通じているが、むこう側は女の髪....
「歴史と事実」より 著者:坂口安吾
合ったが、後日、深田久弥氏の屋久島旅行記を読んで驚いた。屋久島は千七百米の巨大な
山塊で、全島すべて千年から千五百年を経た神代杉の密林だそうである。 成程白石の記....
「香魚と水質」より 著者:佐藤垢石
生層つまり水成岩の層を持った川の鮎は品質が上等である。これに引きかえ、水源地方の
山塊が火成岩である川に育った鮎は味も劣り、香気も薄い。殊に、河原に火山岩が磊々と....
「皇海山紀行」より 著者:木暮理太郎
ているに過ぎない。そこで昼飯にした。谷の眺望が少し開けて、雁坂から金峰に至る秩父
山塊、浅間山、その前に矢筈山、その右に四阿山などが見えた。空が急に曇って西北の風....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
は、数丁にわたる残雪、本年は焼岳の火山灰が、東北地方に降下したから、穂槍及び常念
山塊の残雪は、例年に比し、甚だ少ないとの事だ、よく見ると鼠黒い灰が一面にある。少....
「雨の上高地」より 著者:寺田寅彦
。どこかの大きな庭園を歩いているような気もする。有名な河童橋は河風が寒く、穂高の
山塊はすっかり雨雲に隠されて姿を見せない。この橋の両側だけに人間の香いがするが、....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
えぬが如く押し黙っている気配がある。北東には遠く吾妻山が望まれ、次で那須高原の二
山塊、近くは東に日光の諸山が目睫の間に迫っている。然し最も強く私達を惹き付けたも....