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山嵐
「山嵐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
山嵐の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「坊っちゃん」より 著者:夏目漱石
な礼儀《れいぎ》を心得ぬ奴の所へ誰が遊びに行くものか。おれはこの時からこの坊主に
山嵐《やまあらし》という渾名《あだな》をつけてやった。漢学の先生はさすがに堅《か....
「草枕」より 著者:夏目漱石
」 逡巡《しゅんじゅん》として曇り勝ちなる春の空を、もどかしとばかりに吹き払う
山嵐の、思い切りよく通り抜けた前山《ぜんざん》の一角《いっかく》は、未練もなく晴....
「寛永武道鑑」より 著者:直木三十五
腕を競べるのだ) もう暮れかかろうとする町の中を――冬の初めとて、金華山から、
山嵐の吹いてくる中を邸の方へ、急いだ。 (妻が不憫《ふびん》だが、仕方が無い。武....
「僕の昔」より 著者:夏目漱石
ぬぐい》をさげてあるいたことも事実だ。もう一つ困るのは、松山中学にあの小説の中の
山嵐《やまあらし》という綽名《あだな》の教師と、寸分《すんぶん》も違《たが》わぬ....
「栃の実」より 著者:泉鏡花
るその熊の背に、片膝して腰を掛けた、奇しき山媛の風情があった。 袖も靡く。……
山嵐|颯として、白い雲は、その黒髪の肩越に、裏座敷の崖の欄干に掛って、水の落つる....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
たずねて行くんだ、そこに青嵐《あおあらし》という親分がいる」 「ははあ――青嵐、
山嵐じゃないんですね」 「よけいなことを言うな。青嵐と言えばわかる、その青嵐とい....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
る訥弁《とつべん》の声《こわ》いろが、あとから耳許へ聞こえてきた、木の葉の合方、
山嵐や谺の鳴物も聞こえてきた、扇で半面隠して一生懸命声張り上げている小勝《こかつ....
「挿話」より 著者:徳田秋声
それから遊び場所の選択や、交通の便なぞについて話しているうちに時が移っていった。
山嵐のような風がにわかに出てきて、離れの二階の簾を時々捲きあげていたが、それもひ....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
しているのだった。 神主へ断ってきた言葉のように、妨げのない額堂の席を、夜涼の
山嵐をほしいままにして、連歌の競詠を試みているのかと思うと、闇の中に、眼ばかり光....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
綱の体が根笹の中にひとりでのた打つばかりである。 冷々と樹海の空をめぐっている
山嵐の声と一節切の諧音は、はからずも神往な調和を作って、ほとんど、自然心と人霊と....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
て、道を急ぎにかかったであろうと察しられる一点。 そうすると、麓の見付役所で、
山嵐の寝心地よく、遅くまで、熟睡してここへ着いたお十夜などよりは、ゆうに半日以上....
「洗いづくりの世界」より 著者:北大路魯山人
鮎の獲れるところでは、別段のことでもないのである。現地で、しかも、食膳のあたりに
山嵐の気でも迫るようであれば、いよいよもって得たり賢しである。この鮎を洗いにして....