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山桜
「山桜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
山桜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
夏が来た。何時《いつ》の間に花が咲いて散ったのか、天気になって見ると林の間にある
山桜も、辛夷《こぶし》も青々とした広葉になっていた。蒸風呂のような気持ちの悪い暑....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
うな家の入口にさびた聯《れん》がかかっている。聯の句は 幾若葉はやし初の園の竹
山桜思ふ色添ふ霞《かすみ》かな 主人は案内を知っていると見え、柴折戸《しおり....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
作で、嘉永四年、猿若町《さるわかまち》の中村座の八月興行で、外題《げだい》は『東
山桜荘子《ひがしやまさくらそうし》』といいました。その時代のことですから、本当の....
「死者の書」より 著者:折口信夫
も、野も、春のけしきが整うて居た。野茨の花のようだった小桜が散り過ぎて、其に次ぐ
山桜が、谷から峰かけて、断続しながら咲いているのも見える。麦原は、驚くばかり伸び....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の型から外れる訳にはまいりませんでした。私の三浦へ嫁ぎましたのは丁度二十歳の春で
山桜が真盛りの時分でございました。それから荒井城内の十|幾年の武家生活……随分楽....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
のの標語に花火屋の行燈というが、全くその通りである。当時は花火の種類も僅かで、大
山桜とか鼠というような、ほんのシューシューと音をたてて、地上にただ落ちるだけ位の....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
がほかならぬ、流血演劇だったのである。 そこで、一つ二つ例をあげて云うと、「東
山桜荘子」の中では、非人の槍で脇腹を貫く仕掛などを見せ、夏祭の泥試合、伊勢音頭油....
「鼠」より 著者:岡本綺堂
を眺めていると、さっきから婆さんと客の話の途切れるのを待っていたらしく、店さきの
山桜の大樹のかげから、ひとりの男が姿をあらわした。かれは六十前後、見るから山国育....
「女の話・花の話」より 著者:上村松園
に桜がちらほら見えます。都会の人の息と風塵に染んだ花とは違っておりまして、ほんの
山桜の清々しい美しさは、眼にも心にもしむばかりの感じでした。 ○ こ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
て、やがて十年前に、前申したわけで六地蔵があすこへ立ったと聞きました頃には、もう
山桜の霞の家も消えている……お優さんの行方は知れません。生命はあったのでしょう。....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
れて、十一月の一日に開場式を挙げたのである。狂言は「石橋山」と「扇屋熊谷」と「遠
山桜天保日記」とで、俳優は左団次一派と権十郎、それに団十郎も加わって中幕の熊谷と....
「北穂天狗の思い出」より 著者:上村松園
生い上った深い山の傾斜の上につき出されているのでヒヤヒヤさせられた。ここかしこに
山桜や山吹が咲きこぼれ、鶯の声や啄木鳥のくちばしの音が澄んできこえる。馬子は時々....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
尾の上の風に花の散るかな (経信) 木の下の苔の緑も見えぬまで八重散りしける
山桜かな (師頼) このような歌が出来はじめた。勿論これは『新古今集』に....
「手風琴」より 著者:小川未明
いった、紙に包んだくまのいをおしいただいて、帯の間にしまいました。坂に、一|本の
山桜があって、枝が垂れてじいさんの頭の上にまで伸びていました。 今年の葉は、も....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ます。 またこれと反対に隅田川をいよいよ隅田川らしい好風景にしようと思って、沢
山桜の出崎を拵えてみたり、川を浅くして菖蒲を植えて見たり、都鳥の飼場を設けたりし....