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山火事
「山火事〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
山火事の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
小恥《こはずか》しいように想像された。
とうとう播種時《たねまきどき》が来た。
山火事で焼けた熊笹《くまざさ》の葉が真黒にこげて奇跡の護符のように何所《どこ》か....
「蒼穹」より 著者:梶井基次郎
っているのがことさら眼立っていた。三月の半ば頃私はよく山を蔽《おお》った杉林から
山火事のような煙が起こるのを見た。それは日のよくあたる風の吹く、ほどよい湿度と温....
「まざあ・ぐうす」より 著者:北原白秋
しれ、はしれ、男の子。 クリイムのおなべにねこがいる。 はしれ、はしれ、女の子。
山火事だ。 はしれ、はしれ、男の子。 日の照り雨 日の照り雨《あァめ》、 小半....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
あれは山間の滝か、いや、ぽんぷの水の走るのだと申すくらい。この大南風の勢いでは、
山火事になって、やがて、ここもとまで押し寄せはしまいかと案じますほどの激しさで、....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
山の賑いのコブを二つ三つ、坊主山のてっぺんに植えつけてくれようか。眼から出た火で
山火事無用じゃ」 と、言ったかと思うと、ぱっと飛び降りざまに、三好入道の頭を鉄....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
植した銀杏、杉、竹などは大半枯れ消えたとか、栗も十三俵ほど播いてみたが、十四度も
山火事に逢ううちに残ったのは既に五六間の高さに成ってよく実りはするけれども、樹の....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
わっ!」と叫び大事な評定も忘れたかのように四方に向かって逃げ出した。 峰は今や
山火事なのである。 涸れ乾いた木の葉に火が点いたのである。濛々たる黒煙のその中....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
は、リバプール港へいそぐ阻塞気球隊だったが、彼は、そんなことを知る由もなかった。
山火事のように渦をまく砂塵の中に、ただひとり取り残されていた彼だった。 砂塵は....
「火薬船」より 著者:海野十三
くてみじかいのだ、それが揃いも揃って目につく。第一貴公のあたまにも、妙なところに
山火事のあとみたいなものがあるではないか。さっきいった長崎の禅寺へ、五十人ほどの....
「岷山の隠士」より 著者:国枝史郎
った。 早速引き上げて小姓とした。そうして硯席に侍らせた。 ある夜素晴らしい
山火事があった。 「野火山ヲ焼クノ後、人帰レドモ火帰ラズ」 県令は苦心してここ....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
益※拡がった。部落を悉く焼きつくしてどうやら林へ移ったらしい。 南洋原始林の大
山火事! 鹿や兎や馴鹿は自慢の速足を利用して林から林へ逃げて行く。小鳥の群は大....
「バークレーより」より 著者:沖野岩三郎
『異存なし!』といいたい所である。そこを出て山の方へ行ってみたかったが、近頃の
山火事に追われたカヨテ(狼)やライオンが出るといううわさをきいていたので、行くこ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
。 その中へ目がけて、私たちの巨大な昆虫はまっしぐらに驀進する。 と、また、
山火事に焼け黒ずみ、また雪に雨に白く晒された椴松、白樺、落葉松の疎林が、ほうほう....
「俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
とする方が至当かと考えられます。 なおこのほかに変わった切字のものをあげると、
山火事の天を焦して霜赤し 蒼苔 低く飛ぶ星あり 東雲 鶺鴒の尾にぞ霰のはじか....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
れて、燎原の火の様に山麓から山頂へと一気に音もなく燃え拡がって行く。まるで大きな
山火事だ、と私は思った。ふと、あの白樺に富む尾瀬ヶ原の秋色が想い出された。 振....