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山繭
「山繭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
山繭の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
ものとお光も思っていた。粗末ではあるが春着にでもと送ってくれた一反《いったん》の
山繭《やままゆ》が、丁度お目見得の晴着となったのであった。いくら奉公でも若い女が....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
の向うに坐った、飾を挿さぬ、S巻の濡色が滴るばかり。お納戸の絹セルに、ざっくり、
山繭縮緬の縞の羽織を引掛けて、帯の弛い、無造作な居住居は、直ぐに立膝にもなり兼ね....
「縮図」より 著者:徳田秋声
ですから、一晩腕をかかえて泣いていましたわ。朝と晩に膿を吸い取るために当ててある
山繭とガアゼを、自分でピンセットで剥がしちゃ取り替えていましたけれど、見ちゃいら....
「伸子」より 著者:宮本百合子
に色を見わけながら云った。 「喜久屋が来たんだがね」 「何をお染めになるの」 「
山繭《やままゆ》が一反あるから、羽織にでもしようかと思って――どうも近頃はもとと....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
と、為永春水の作に次の如く書いてある。 「……上田太織の鼠の棒縞、黒の小柳に紫の
山繭縞の縮緬を鯨帯とし、下着はお納戸の中形縮緬、お高祖頭巾を手に持ちて乱れし鬢の....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
で白粉気のある処へぽッと桜色になりましたのは、別して美しいものでございます。緋の
山繭の胴抜の上に藤色の紋附の裾模様の部屋|著、紫繻子の半襟を重ねまして、燃えるよ....
「鴻ノ巣女房」より 著者:矢田津世子
る、一軒一軒で口上だからと、捨吉は不機嫌だった。玄関に上りこむなり荷をひろげて、
山繭の屑糸からとれた丈夫な絹綿だと云い、足でふんづけたり手綱によじってみせたりし....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
い貴婦人の肩を押え付けていかにも苦しそうに見えて居る。で頭には小さなブータン製の
山繭の赤い頭掛を懸けて、少し俯向き心になって眼を閉って居られるです。その端にはこ....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
うたる博多に繻子に未練もなし、三枚重ねに忍ばるる往時は罪のない夢なり、今は苦労の
山繭縞、ひらりと飛ばす飛八丈このごろ好みし毛万筋、千筋百筋気は乱るとも夫おもうは....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
のでありましたが、私どもにとってもっと興味深いのは、この南安曇の有明村から出る「
山繭織」であります。自然産であって、極めて堅牢であります。わずかより織られません....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
這入ってありますという、万事手当が届いて居りまする。若草は藤掛色の室着を羽織り、
山繭の長襦袢に、鴾色のしごきを乳の下から、巾広にして身重の腹を締めて居りまする。....
「銀河まつり」より 著者:吉川英治
も木綿着物ときまっている彼女も、今夜は、夕顔の花ぐらいにうすく白粉を襟に刷いて、
山繭織りを濃い紫に染めたよそゆきの小袖を着て下婢をさしずしながら、一同へお酌をし....