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山茶
「山茶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
山茶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
い間こんな空気に接しなかったような気がした。 彼は細い坂を緩りゆっくり登った。
山茶花《さざんか》の花ややつでの花が咲いていた。堯は十二月になっても蝶《ちょう》....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
違い棚の傍に、十畳のその辰巳に据えた、姿見に向かった、うしろ姿である。……湯気に
山茶花の悄れたかと思う、濡れたように、しっとりと身についた藍鼠の縞小紋に、朱鷺色....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
重葎しげれる宿」と云いそうな姿である。 そのほかにも桐や松や、柿や、椿、木犀、
山茶花、八つ手、躑躅、山吹のたぐいも雑然と栽えてあるので草木繁茂、枝や葉をかき分....
「錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
の一室|襖、障子にて見物の席より見えず。 七左 (襖の中にて)ここはまた掛花活に
山茶花とある……紅いが特に奥方じゃな、はッはッはッ。 撫子、勝手に立つ。入かわり....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
返る頭髪も量そうに褄さきの運びとともに、またうなだれて、堪兼ねた涙が、白く咲いた
山茶花に霜の白粉の溶けるばかり、はらはらと落つるのを、うっかり紙にうけて、……は....
「古狢」より 著者:泉鏡花
、咄嗟に外套の袖をしごくばかりに引掴んで、肩と袖で取縋った。片褄の襦袢が散って、
山茶花のようにこぼれた。 この身動ぎに、七輪の慈姑が転げて、コンと向うへ飛んだ....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
なんだ。 いや、湯女に見惚れていて、肝心の御婦人が後れました。もう一人の方は、
山茶花と小菊の花の飛模様のコオトを着て、白地の手拭を吹流しの……妙な拵だと思えば....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
。 実は、コトコトとその駒下駄の音を立てて店前へ近づくのに、細り捌いた褄から、
山茶花の模様のちらちらと咲くのが、早く茶の間口から若い女房の目には映ったのであっ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
が、まさか消え失せたのじゃあるまい、と直ぐに突切ってぐるりと廻ると、裏木戸に早や
山茶花が咲いていて、そこを境に巣鴨の卯之吉が庭になりまさ。 もみじはここも名物....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
瞼か。――手絡にも襟にも微塵もその色のない、ちらりと緋目高のような紅が、夜の霜に
山茶花が一片溢れたようにその姿を掠めた。 「親代々、まだ続いて達者でいます。余り....
「薬前薬後」より 著者:岡本綺堂
重葎しげれる宿」といいそうな姿である。 そのほかにも桐や松や、柿や、椿、木犀、
山茶花、八つ手、躑躅、山吹のたぐいも雑然と栽えてあるので草木繁茂、枝や葉をかき分....
「越年」より 著者:岡本かの子
くて雪の代りに雨がしょぼしょぼと降り続いた。加奈江は茶の間の隅に坐って前の坪庭の
山茶花の樹に雨が降りそそぐのをすかし見ながら、むかしの仇討ちをした人々の後半生と....
「なくなった人形」より 著者:小川未明
が、乞食の子は、おみよが、いま人形にごちそうをこしらえてやろうとして、菊の花や、
山茶花の花弁を、小さな刃物で、小さなまないたの上に載せて刻んでいるのを見て、思わ....
「幾年もたった後」より 著者:小川未明
と、なんでも、目に映ったものは美しく見えました。おじいさんは、道ばたに咲いている
山茶花も、菊の花も、みんな心あってなにか物語ろうとしているように見られたのです。....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ん。 うつし身のつひに果てなん極みまで 添ひゆくいのち正眼には見よ 私は紅
山茶花を見るといつも思うのです。家庭というものは、こうも静かで浄らかであり、可憐....