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「山葡萄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

山葡萄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河童」より 著者:芥川竜之介
《へや》へはいりました。そのまた小さい部屋の隅《すみ》には黒いヴェヌスの像の下に山葡萄《やまぶどう》が一ふさ献じてあるのです。僕はなんの装飾もない僧房を想像して....
梓川の上流」より 著者:小島烏水
いかりづな》のようにぶら下っている、こればかりではない、葛、山紫藤《やまふじ》、山葡萄などの蔓は、木々の裾から纏繞《まといつ》いて翠《みどり》の葉を母木の胸に翳....
故郷を想う」より 著者:金史良
は、庭一杯に色とりどりの花が咲き乱れ、塀のぐるりには母の植えたという林檎の苗木や山葡萄の蔓がひとしお可憐だった。それに玄関際の壁という壁にはこれから背伸びしよう....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
林が諸所に飛び飛びに立っているのが老人の歯が抜けたようだ。毒卯木の花が生白く咲き山葡萄の蔓が縦横に延び、雪崩の跡が断層を作し赤茶けた地肌を現わしているのが、荒涼....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
若木が矗々と伸びて、若木其ものが径一尺に余るのがある。サルオガセがぶら下ったり、山葡萄が絡んだり、其自身針葉樹林の小模型とも見らるゝ、緑、褐、紫、黄、さま/″\....
天守物語」より 著者:泉鏡花
様に、私から我儘をしますから。 夫人 もっともさ。 舌長姥 もし、通草、山ぐみ、山葡萄、手造りの猿の酒、山蜂の蜜、蟻の甘露、諸白もござります、が、お二人様のお手....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
かわって、加越のあの辺に朱実はほとんどない。ここに林のごとく売るものは、黒く紫な山葡萄、黄と青の山茱萸を、蔓のまま、枝のまま、その甘渋くて、且つ酸き事、狸が咽せ....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
、上品な、お神巫かと思う、色の白い、紅の袴のお嬢さんが、祭の露店に売っている……山葡萄の、黒いほどな紫の実を下すって――お帰んなさい、水で冷すのですよ。 ――....
美しい村」より 著者:堀辰雄
暗いほど鬱蒼《うっそう》と茂っていた。そうしてそれらの古い幹には藤《ふじ》だの、山葡萄《やまぶどう》だの、通草《あけび》だのの蔓草《つるくさ》が実にややこしい方....
札幌まで」より 著者:寺田寅彦
ばなれのした景色である。鉄骨ペンキ塗りの展望塔がすっかり板に付いて見える。黄櫨や山葡萄が紅葉しており、池には白い睡蓮が咲いている。駒ヶ岳は先年の噴火の時に浴びた....
貞操問答」より 著者:菊池寛
いわれようか。 そこらあたりからは、いよいよ深く樹が茂り合っていて、太い幹に、山葡萄やあけびの蔓が、様々な怪奇な姿態でからみつき、路傍の熊笹や雑草も延びほうだ....
一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
は、私がやはり田舎者であったのである。 私はまた、信州の山林にたくさん野生する山葡萄からジャムを造って売り出してはどうかと思い、缶詰業界の大先覚豊田吉三郎翁を....
銀三十枚」より 著者:国枝史郎
にわかに叫び声を上げた。 「時は近づいた! 遣って来た!」 麓の方を指さした。山葡萄の茂みに身をひそめ、ユダは様子をうかがっていたが、この時麓を隙かして見た。....
剣侠」より 著者:国枝史郎
や、柏や、櫟や、櫨などの、灌木や喬木の枝や葉であり、それらに取り縋り巻いている、山葡萄や蔦や葛であり、そうしてそれらの緑を貫き、わずかに幽かに隙けて見える、朝の....
雪代山女魚」より 著者:佐藤垢石
合がいいように、道糸の途中に水鳥の白羽を目印としてつけるのである。 餌は川虫、山葡萄の蔓虫、鰍の卵、虎杖の虫、柳の虫、蚯蚓、栗の虫、蜻蛉、虻、蝶、蜘蛛、芋虫、....