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「山野〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

山野の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
五年春二月が始めなのであろう。 勿論|貉《むじな》は、神武東征の昔から、日本の山野に棲《す》んでいた。そうして、それが、紀元千二百八十八年になって、始めて人を....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
で、笠井の小屋を尋ねさすとそこにもいなかった。笠井は驚いて飛んで来た。しかし広い山野をどう探しようもなかった。夜のあけあけに大捜索が行われた。娘は河添《かわぞい....
地獄街道」より 著者:海野十三
きどき自分が小説家たることを忘れて彼の手腕に嫉妬を感ずるほどだ。 「これだこれだ山野君」と彼は私の名を思わず大きく叫んだ。「例の箱がいつ何処で作られたんだかすっ....
とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
時としてはそのまま死ぬ事もあるが、ま、猛毒ではないそうだ。日本内地でも中部以南の山野にいくらも自生しているものだよ。ところで、もうひとつこの莽草の樹の用途なんだ....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
いものがある。 駅夫の長い腕が引払った。 笛は、胡桃を割る駒鳥の声のごとく、山野に響く。 汽車は猶予わず出た。 一人|発奮をくって、のめりかかったので、....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
しい名の無い菌も、皮づつみの餡ころ餅ぼたぼたと覆すがごとく、袂に襟に溢れさして、山野の珍味に厭かせたまえる殿様が、これにばかりは、露のようなよだれを垂し、 「牛....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
を促がしつつ、廻り駈けに駈けつけた孫八が慌しく留めた。水を飲んじゃなりましねえ。山野に馴れた爺の目には、沼の水を見さっせえ、お前等がいった、毒虫が、ポカリポカリ....
香水紳士」より 著者:大阪圭吉
は、固唾を呑みながら、外を見た。 窓の外には、すがすがしい新緑に包まれた湘南の山野が、麗かな五月の陽光を浴びながら、まるで蓄音機のレコードのように、グルグルと....
月世界跋渉記」より 著者:江見水蔭
ったので、ほかの人々もこの時始めて外を見た。 実に見渡す限り磊々塁々たる石塊の山野のみで、聞ゆるものは鳥の鳴く音すらなく満目ただ荒涼、宛然話しに聞いている黄泉....
怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
草を採集する目的で、老体ながら人手を借りず、自ら不思議な住居を建て、隙さえあれば山野の中にただ一人で分入るのであった。 「暖国には樹上の家、寒国には土中の室、神....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
人に危害を加えるようなことはないのである。彼は家というものももはや失い、主として山野に寝ね、山野に彷徨して、虫けらを食って生存しているのだが、時々、里へ出現まし....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
挺か、安革鞄で斜にかけ、どうかするとヘルメット帽などを頂き、繻子の大洋傘をついて山野を渡る。土木の小官吏、山林見廻りの役人か、何省お傭の技師という風采で、お役人....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
む。かつ一帯の海浜白砂雪のごとく、往々奇※その形動物に似たるものあるは奇景なり。山野に大岩山の自然に並立せるありさまは、わが笠置山に似たり。 一帯峰巒繞。 (こ....
金山揷話」より 著者:大鹿卓
くつづく窓外の眺めに目をさらすと、いったい隣りの車の遺骨の埋められるのは、何処の山野の果てだろうかと、そんな思いにも捉われた。窓外の自然よりもさらに荒々しい奥地....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
を懐うことなしにこの柿を手に執ることは出来ず、さればといって掌に載っているものは山野の秋に熟した自然の柿であります。 道理の筋道を探るために、世の中の物事の精....