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「屹度〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

屹度の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
忠義」より 著者:芥川竜之介
は、板倉式部の屋敷で、縛り首に処せられた。これは「修理病気に付、禁足申付候様にと屹度《きっと》、板倉佐渡守兼ねて申渡置候処、自身の計らいにて登城させ候故、かかる....
一房の葡萄」より 著者:有島武郎
たのです。僕は自分一人で考えこんでいました。誰《たれ》かが気がついて見たら、顔も屹度《きっと》青かったかも知れません。僕はジムの絵具がほしくってほしくってたまら....
俘囚」より 著者:海野十三
こ》にまた苦《にが》く思い出さねばならなかった。 (この調子で行くと、この青年は屹度《きっと》、私から離れてゆこうとするに違いない!) きっと離れてゆくだろう....
振動魔」より 著者:海野十三
案ぜられもした。しかし自らの智恵ぶくろの大きいことに信念をもつ柿丘は、なにかしら屹度、素晴らしい手段がみつかるだろうと考えた。 彼は、或る時は図書館に立て籠っ....
赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
これも兄を探しているらしい百合子と出会いましたが、彼女は、 「勝見さん、兄さんは屹度実験室よ、行ってみて下さい」 「承知しました。――奥様は?」 「姉さんはあち....
電気看板の神経」より 著者:海野十三
間で、科学を呪うこと迚もはなはだしく、科学的殺人の便宜を指摘する夫子自身はいつか屹度この「便宜」の材料に使われて、自分はきっと天寿を俟つ迄もなく殺害せられてしま....
疑問の金塊」より 著者:海野十三
、私はあの建物を手離さないよ。……そいつは冗談だが、こいつは儲け話なんだ。相手は屹度買うよ。彼奴等はきっと今朝がた、留置場のカンカン寅と連絡をしたのだ。そのとき....
蠅男」より 著者:海野十三
して貰うと直ぐに糸子の邸に隠れて、蠅男を迎える準備にかかった。宝塚ホテルの電話は屹度蠅男の耳に入るに違いないことは、それ迄の例で分って居たから、それを知れば蠅男....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
口辞を振い始めた。 処が世の中は芝居で固めてあるんだ。右の手で金を出すてえと、屹度左の手は物を盗ねて居やあがる。両手で金を出すてえ奴は居無え、両手で物を盗ねる....
火葬国風景」より 著者:海野十三
社に頼んで出来るだけの探索を試みたりしたが、鼠谷の消息は皆目知れなかった。これは屹度、人に知れない場所で失恋の自殺をしているのかも知れないと、二人は別々に同じこ....
石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
もあの人は、かつて数回の犯罪事件に関係したこともあると云う。事情を打明けたなら、屹度相談に乗って呉れるかも知れない……。 そこで雄太郎君は、学校が退けると早速....
良夜」より 著者:饗庭篁村
、「何分宜しく願い申す」と頭をあげて主公の顔を見て予は驚きたり。主公もまた我面を屹度見られたり。 先に茶を運びし小女は、予が先夜吾妻橋にて死をとどめたる女なり....
京のその頃」より 著者:上村松園
てることもあったのを記憶してる。後ろにはお婆さんがいた。見れば人品も卑しくない。屹度元は由緒ある人の落ちぶれたものに相違ないとも思わせた。 こうしたしんみりし....
「ああしんど」」より 著者:池田蕉園
をしまして、にゅっと高くなって、 「ああしんど」と言ったんだそうで御座いますよ。屹度、曾祖母さんは、炬燵へ煖って、眼鏡を懸けて、本でも見ていたんで御座いましょう....
北海道に就いての印象」より 著者:有島武郎
ていた頃には、米国風な広々とした札幌の道路のこゝかしこに林檎園があった。そこには屹度小さな小屋があって、誰でも五六銭を手にしてゆくと、二三人では喰い切れない程の....