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「屹然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

屹然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
深夜の市長」より 著者:海野十三
た。さあ、輪太郎の怪塔は有りや無しやと仰いで見れば、あったぞ、あったぞ、夜目にも屹然と聳える見覚えある高塔――窓についた灯も、この前見たとおりだった。 僕は塔....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
リュウと申してよろしいのですから」そうして、扉の方へ二、三歩歩んだ所で立ち止り、屹然と法水を振り向いて云った。 「法水さん、与えられたものをとることにも、高尚な....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
頃に見上げるばかりに高い、大きな氷河口のまえへ出た。氷の断涯が無数の滝を垂らし、屹然とそびえている。すると、折竹が急に何を感じたのか、荷物のなかから微動計を取り....
嬌娜」より 著者:田中貢太郎
てきた。それがために老樹が倒れた。孔生は眼前がくらみ耳がつぶれるように思ったが、屹然と立ってすこしも動かなかった。と、見ると、黒い絮のような煙の中に怪物の姿があ....
少年探偵長」より 著者:海野十三
、幸いにして火にも焼かれず、水にもおかされず、いまもって淡路島の中央山岳地帯に、屹然としてそびえている。 いつのころか、ここはカトリックの修道院になって、道徳....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
石に寒げに着てこそは居ないが、身の痩の知らるる怒り肩は稜々として、巌骨霜を帯びて屹然として聳ゆるが如く、凜として居丈高に坐った風情は、容易に傍近く寄り難いありさ....
霊気」より 著者:豊島与志雄
いながら、ほっと息をついて見渡せば、正に天下の壮観である。目指す槍ヶ岳の尖峰は、屹然と中空に聳え、鋸歯状に輪廓を刻んで、左手穂高岳へ連り、右手はゆるやかに延びて....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
、フォン・エッセン艇長だったのです」 「何をおっしゃるんです」 とウルリーケは屹然と法水を見据えたが、検事はその一言で、木偶のように硬くなってしまった――なぜ....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
てならないのですよ」 「承わりましょう――一体何を仰言りたいのです」 盤得尼は屹然と額を上げた。 「要するに、接神妄想なんですよ。これは、ボーマンの『宗教犯罪....
取舵」より 著者:泉鏡花
早神明の威令をも奉ずる能わざりき。 学生の隣に竦みたりし厄介者の盲翁は、この時屹然と立ちて、諸肌寛げつつ、 「取舵だい※」と叫ぶと見えしが、早くも舳の方へ転行....
二・二六事件に就て」より 著者:河合栄治郎
る。此の信念こそ吾々が確守すべき武器であり、之あるによって始めて吾々は暴力の前に屹然として亭立しうるのである。....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
歌」というのを歌いながら、広い庭をあちこち歩きます。その歌というのが、「東洋に、屹然立ったる日本の国に、昔嘉永の頃と聞く、相州浦賀にアメリカの、軍艦数隻寄せ来り....
西航日録」より 著者:井上円了
に達し、三時入港す。港内にありて砲台を望むに、金城鉄壁もただならざるなり。 山勢屹然千仞余、砲門高構圧坤輿、金城鉄壁独難比、恐是当初帝釈居。 (山の形はけわしく....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
ただ緩漫なる大波動を見るのみ。アフリカ州南端の連山、眼前に起伏す。その形、奇※の屹然角立せるあり、これを鬼峰と名づく。懸岩屏風のごとくにして、そのいただきの平坦....
」より 著者:アルテンベルクペーター
る。 小娘は釣をする人の持前の、大いなる、動かすべからざる真面目の態度を以て、屹然として立っている。そして魚を鉤から脱して、地に投げる。 魚は死ぬる。 湖....