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岩壁
「岩壁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
岩壁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
壁を見る時は、魂消え、心|戦《おのの》くも理《ことわ》りであった。 市九郎は、
岩壁に縋りながら、戦く足を踏み締めて、ようやく渡り終ってその絶壁を振り向いた刹那....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
こびりついた、血に塗《まみ》れていて、ことに半面のほうは、逃げようと悶えながら、
岩壁に摺りつけたせいか、繊維の中にまで泥が浸み込み、絶えず脂《あぶら》とも、血と....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
に吹き当り始めた。 高く、或は低く、唸るような風の音が、直ぐ眼の下の断崖から、
岩壁に逆巻く磯浪の咆哮に反響して、物凄く空気を顫わせ続ける。 私達を前にして椅....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
くなったためか、屋根の雪が煙で赤くなっている。槍沢附近はやはり雪が多い。赤沢岳の
岩壁から滝のような雪崩が落ち、その音が意外に大きかったので驚いた。冬期太陽の直射....
「恐竜島」より 著者:海野十三
たかわりに、玉太郎は岩鼻から前半身をのりだして、崖の下をながめた。 下はすごい
岩壁《いわかべ》であり、そしてやはりひたひたと海水に洗われていた。 「おや、あそ....
「地球要塞」より 著者:海野十三
広間の有様が、人の眼を奪う。 天井は高く、五十メートルばかりもある。 四囲の
岩壁は、青味をおびた黒色をしていて、そのうえに、苔《こけ》や海草が生え、艇が水を....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
とする「|鷹の城」に恐怖を感じているのだ。 ところが、当の「鷹の城」は、その時
岩壁を縫い、岬の尻の入江の中で、静かに揺れていた。 それは水上|噸数約四百噸ば....
「S夫人への手紙」より 著者:岸田国士
条項はひとつもみあたりません。いずれも、旧い殻を破り、新しい土を耕し、茨を分け、
岩壁をよじ登らなければ容易に到達できない目標ばかりです。なるほど、その目標が明ら....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
なった陽の光は、河岸のあちこちにそば立つ断崖のいただきの木立のあたりにためらい、
岩壁の濃い鼠色と紫色とをいっそう深くきわだたせていた。小船が一|艘はるか遠くにた....
「一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
は四時頃であった。岩場の様子についてまったく知る所のなかった私たちは、その豪壮な
岩壁を見ると直ぐに、道から近くの所へ天幕を張った。谷川木谷の俎※で、大した岩も味....
「涸沢の岩小屋のある夜のこと」より 著者:大島亮吉
気のいいときは、朝飯を食ったらすぐとザイルでも肩にひっかけて、まわりの好き勝手な
岩壁にかじりつきに行ったり、またはちょっとした名もないような Nebengipf....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
として暗かった。松明の光を便宜にして、ここぞと思うあたりの岩穴を一々検査すると、
岩壁を穿ったる横穴は数ヶ所に拓かれていた。が、穴の天井は極めて低いので、到底真直....
「炭焼長者譚」より 著者:喜田貞吉
がある。山によった所で、かつては大きな寺院があったとみえて、今も彼方此方の山腹の
岩壁に彫刻した大小幾多の仏像が、或いは破壊されたり、或いは半ば土に埋もれたりした....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
・カンバブの大河が洋々と西に流れ去って居るです。その川を隔てて向うの岸には奇態な
岩壁が重なり立って居りまして、その色合も黄あるいは紅色、誠に爽かな青色、それから....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
た、密集した、幾段々になった、 鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥なのだ。 ロッペン鳥の懸崖、
岩壁――断層面。 いや、島自体がロッペン鳥の断層なのだ。 正面きった。 と....