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岩根
「岩根〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
岩根の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
して嬉しいことではない。彼は雨を避けようとして、急いで四辺を見廻わした。 と、
岩根の一所に、人一人ようやくはいれるくらいの、小さい岩穴が開いていた。 で、何....
「魚服記」より 著者:太宰治
である。 スワを茶店にひとり置いても心配はなかった。山に生れた鬼子であるから、
岩根を踏みはずしたり滝壺へ吸いこまれたりする気づかいがないのであった。天気が良い....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
り近づいていた。流れに沿って歩く彼らの足は速かった。しばらくは、昨日無駄に歩いた
岩根や草やぶを踏みつけて歩いた。揺れ動くこまかい水滴の雲に、おもてを割って進んで....
「恐竜島」より 著者:海野十三
と見え、満面朱《まんめんあけ》にそめると、一本のロープをとりあげて、自らいそいで
岩根にくくりはじめた。 伯爵《はくしゃく》の行方《ゆくえ》 ロープが張ら....
「怪塔王」より 著者:海野十三
へ来なさい。ここから下りるのだ」 博士は魚油灯をもって先に立ち、はやそろそろと
岩根づたいに下りていきます。 帆村探偵は、はじめて見るおそろしい断崖に、目まい....
「大和路・信濃路」より 著者:堀辰雄
大鳥《おおとり》の羽《は》がひの山に、わが恋ふる妹《いも》はいますと人のいへば、
岩根《いわね》さくみてなづみ来し、よけくもぞなき。現身《うつそみ》とおもひし妹《....
「源氏物語」より 著者:紫式部
据《す》えたのを返しにした。五葉の枝につけたのは、 風に散る紅葉は軽し春の色を
岩根の松にかけてこそ見め という夫人の歌であった。よく見ればこの岩は作り物で....
「源氏物語」より 著者:紫式部
なものも添ってきてりっぱな貴婦人と見えた。 若葉さす野辺の小松をひきつれてもとの
岩根を祈る今日かな こう大人びた御|挨拶をした。沈の木の四つの折敷に若菜を形式....
「源氏物語」より 著者:紫式部
になった。宮は顔を赤めておいでになった。 「たが世にか種は蒔きしと人問はばいかが
岩根の松は答へん かわいそうですよ」 ともそっとお言いになったが、宮はお返辞....
「元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:井原西鶴
気味がわるいので皆んな何とも云わずに家へ逃げかえってしまった、その中にたった一人
岩根村の勘太夫の娘の小吟と云うのはまだ九つだったけれ共にげもしないでおとなしく、....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
花盛り。賑やかです。その花を折りとってお墓に飾りました。只道が実にけわしくてね。
岩根とごしき山をのぼり、まるで「平家物語」よ。お母さんだってあぶなくいらっしゃる....
「藤九郎の島」より 著者:久生十蘭
が乗った艀《はしけ》が、こちらへ漕ぎ寄ってくる。生憎と岸波が強く、放っておけば、
岩根にぶちあててしまうから、なんとかしてやらねばなるまいといった。 島組の三人....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
く美しいものだによって、ときどき召しよせて香遊びの相手などいたさせているうちに、
岩根の下ゆく水、たがいの心が通うようになりました。……お父上は文教のお心深く、諸....
「役者の一生」より 著者:折口信夫
ので、自ら相当地位のいい役者がするのだが、例えば「※山古跡松」の中将姫をいじめる
岩根御前などは普通立女形の役である。又「浅間岳面影双紙」の時鳥という浅間家の妾が....
「鯛と赤蛸」より 著者:佐藤垢石
は、尾の先がささらのように割れている。鯛は、網の片木縄に追われて逃げるとき尾端を
岩根にすり当てるから、こう割れてしまうのである。こんなわけで、一本鈎で釣った鯛よ....