岩燕[語句情報] » 岩燕

「岩燕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

岩燕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
―しかし彼は人間であった。 時々彼が谷川の石の上に、水を掠《かす》めて去来する岩燕《いわつばめ》を眺めていると、あるいは山峡《やまかい》の辛夷《こぶし》の下に....
雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
に吹かれて、斜に推し倒され蝕《むしく》ったように穴を生じて、その穴の底の方から、岩燕の啼く音が聞えた。 初めて雪に触れたのは、七、八合目の間であった、殊に八合....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
。二人しばらく無言である。 附近で虫が鳴いている。パチパチパチパチパチパチと、岩燕が群をなして颯と頭上を翔け過ぎた。それさえ所がら物寂しい。 また陶器師は眼....
風野又三郎」より 著者:宮沢賢治
ね、そのうちに東が少し白くなって鳥がなき出したろう。ね、あすこにはやぶうぐいすや岩燕《いわつばめ》やいろいろ居るんだ。鳥がチッチクチッチクなき出したろう。もう僕....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
岳が見えはじめたが、野口の五郎岳あたりから北は、雪に截ち切られている、脚の下を、岩燕が飛んでいる。 この大岩壁を超えると、うって変った小石の多い、ツガザクラで....
山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
焼への尾根の一部が見えて、その上に笠ガ岳が胸まで出している。わが頭をすれすれに、岩燕がヒューとばかり鋭い翼の音をたてて、一羽は一羽の後を追いながら、大円を画いて....
生死卍巴」より 著者:国枝史郎
ていた。その滝のまわりを廻りながら、啼いているのは何の鳥であろう? 数十羽群れた岩燕であった。 高山の城下までつづいているはずの、峠路とも云えない細い道は、足....
博物誌」より 著者:岸田国士
彼に向って、まるで悪態をつくように、おしゃべりの小鳥の群れを投げつける。 雀、岩燕、山雀、かわら鶸などが、入り交り、立ち交り、彼を悩ます。彼らはその翼で彼の枝....
穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
知れずの深壑から、何百尺だかわからなく、屹立している。猪や羚羊も恐れて近かねば、岩燕や雷鳥でも躊躇するだろう、何だか形容のしようもない。今眼前|咫尺に、この偉観....
案内人風景」より 著者:黒部溯郎
目近かく仰ぎ上げる頂上を掠めて、白い雲が飛んでは碧空に吸われるように消える。岩燕が鏑矢のような音たてて翔び交う。 彼氏は徐ろにポケットから取り出したダンヒ....
一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
僅かに前面を打開かれた大きな鉄の箱の底にいるような感さえする。三、四十羽と群なす岩燕は、この巌の大伽藍を守護する小さな精霊たちのように、見なれない自分たちを巡っ....
層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
。十丈もあらむ。飛沫日光に映じて、虹を現わす。瀑の左に直立せる絶壁の面に穴多く、岩燕出入して、虹の中に舞えり。渓ますます広し。虎杖人より高く、蕗も人より高し。お....
三国志」より 著者:吉川英治
合の衆でもなかった。 楽器の音は、山岳を驚かせた。空をゆく鴻は地に降り、谷々の岩燕は、瑞雲のように、天に舞った。 まず何よりも、二夫人との対面の儀が行われた....
野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
いて見てもかけておらぬのである。全くこの頃の建築は燕には不便だ。甲州あたりへ来る岩燕でもないと、こんな新式の住宅地には入り込んで住めない。これは是非とも雀と同様....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
まに噴き出している。雪渓が続くか、左もなければ大きな瀑があるに相違ないと思った。岩燕が群をなして谷風に舞い※る木の葉のように飛んでいる。全く壮だなというより外に....