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岩畳
「岩畳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
岩畳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
の岩山の頂きを非常な努力で平地とし、そこへ神殿を建てたものであって、今も尚周囲は
岩畳みであった。自然と人工との合一したもの、それがこの「聖壇」なのである。その「....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
ンべが、何糞ッ若け者に負けるもンかってやり出しても、第一|息がつゞかんからナ」と
岩畳づくりの与右衛門さんが相槌をうつ。然し耗っても錆びても、心棒は心棒だ。心棒が....
「播州平野」より 著者:宮本百合子
ような、ちぐはぐな目ざめ心地である。 白絹のシャツに巻ゲートルといういでたちの
岩畳な骨格の男が、ひろ子の向い側にいた。力仕事で五十過まで稼いで来たという手つき....
「三郎爺」より 著者:宮本百合子
せたくても死なないような丈夫な子に育った。大きな大きな二つの眼、響くような声と、
岩畳《がんじょう》な手足、後年彼を幸福にもし、不幸にもした偉大な体躯が、年中|跣....
「美しき月夜」より 著者:宮本百合子
ーガレットの裸形《むきだし》の手を取りながら、微かな香りのある腕を、じっと自分の
岩畳な腕の下に締めつけた。 長い林檎林を抜けると、道は急に開いて、二人の前には....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
借着の筒袖のつんつるてんで、そのあとについて行きます。 「駒井さん、僕はこういう
岩畳《がんじょう》な身体《からだ》をして美人を描いているのに、あんたは虫も殺さな....
「つぼみ」より 著者:宮本百合子
りました、 けど御らんなさいかしの木は キリキリシャンと立ってます 骨が目立って
岩畳な 幹と枝とをむきだして 男々しくそびえて立ってます。 八つ手葉裏....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
蔭影がつき、風が吹くたびにそれが揺れた。前と左右は物寂しい荒野で、そうして背後は
岩畳を隔てて、海に続いているらしい。 人っ子一人通っていない。市の燈火は見えて....
「回想録」より 著者:高村光太郎
めると、品川のお台場の沖を通る舟まで見えるということであった。之が父の設計で余り
岩畳に出来ているので、後で毀すのに困ったらしく、神田明神のお祭の時にひどい暴風が....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
ジワジワ言わせながら、水昆炉を真中に男女の差向い。男は色の黒い苦み走った、骨組の
岩畳な二十七八の若者で、花色裏の盲縞の着物に、同じ盲縞の羽織の襟を洩れて、印譜散....
「丸の内」より 著者:高浜虚子
」とその男は空しく口を開いて笑った。 私はそのかぼそい細君を見た。弟というのも
岩畳という程ではなかった。 「何日かかります。」 「五十六、七日かかるそうです。....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
木理美しき槻胴、縁にはわざと赤樫を用いたる
岩畳作りの長火鉢に対いて話し敵もなくただ一人、少しは淋しそうに坐り居る三十前後の....
「鴉」より 著者:シュミットボンウィルヘルム
ように、果もなく単調な無事を表しているだけである。 しかしこの群の人々に、この
岩畳な老人が目に留まらなかったのではない。今朝から気は付いている。みんなが早足に....
「世間師」より 著者:小栗風葉
な匂のする女だ。 階下へ降りてみると、門を開放った往来から見通しのその一間で、
岩畳にできた大きな餉台のような物を囲んで、三四人飯を食っていた。めいめいに小さな....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
仁王門のそばの「新煉瓦」のはずれの「成田山」の境内にいま読者を拉したいのである。
岩畳な古い門に下ったガラスばりの六角|灯籠。――その下をくぐって一ト足そのなかへ....