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「岩窟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

岩窟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
て、女は洞穴の中へ入って行った。歯朶《しだ》が生い囲んでいる入口の辺を過ぎると、岩窟の岩肌が灯に照し出された。頬を掠めて蝙蝠《こうもり》らしいものが飛んで女を驚....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
立ち退いて、その毒気を避けましたが、わたくしどもは遠方まで立ち去らず、近所の山の岩窟にかくれて夜の明けるのを待って居りました。唯今これへ来て見れば、あなたはつつ....
怪塔王」より 著者:海野十三
の無電装置をつかうことでありました。なかなか忙しいことです。 怪塔王のほろんだ岩窟を、そのまま後にするのは、たいへん心のこりでありました。なんだか、怪塔王がそ....
空中漂流一週間」より 著者:海野十三
んでいってしまうかのように、なおもぐんぐんと雲と雲の間を昇っていった。あたりは、岩窟に入ったように真暗で、そして雹がとんでいた。折々ぴかりとはげしい電光が、密雲....
人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
したことであろう。きっと、百人や二百人は、目をまわすものがでてきたことであろう。岩窟の押し問答 岩窟の中では、帆村と正太の二人が、元気をもりかえした。エフ氏が....
くろがね天狗」より 著者:海野十三
はなかった。 「おお、人が斬りたい。……」 と、日暮れになると、彼は高尾山中の岩窟からノッソリ姿を現わし、魘されでもしているかのような口調で叫ぶのだった。 「....
死者の書」より 著者:折口信夫
広い磐石の面が、感じられた。 纔かにさす薄光りも、黒い巌石が皆吸いとったように、岩窟の中に見えるものはなかった。唯けはい――彼の人の探り歩くらしい空気の微動があ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
のように立派な所へは出られない。』と仰っしゃって、神様にお願いして、わざと小さな岩窟のような所に籠って、修行にいそしんで居られます。これなどは、むしろ私どもの良....
最古日本の女性生活の根柢」より 著者:折口信夫
婚礼の当夜、盃事がすむと同時に、花嫁は家を遁げ出て、森や神山(御嶽と言う)や岩窟などに匿れて、夜は姿も見せない。昼は公然と村に来て、嫁入り先の家の水壺を満た....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
の人間があたかも人猿の王かのように彼らの群に奉仕されて、いとも平和に住んでいた。岩窟の内は暗かった。獣油で造った蝋燭が一本幽かに燈もっていて私達二人と老人とをほ....
剣侠」より 著者:国枝史郎
の馬、五百の馬の馬飼の……それから少し間が切れて――秣の山や底無しの、川の中地の岩窟の……という文句を知っている。そこへわしの外にもう一人、同じように知っている....
入れ札」より 著者:菊池寛
来、自分に対する乾児達の忠誠をしみじみ感じていた。鰹節や生米を噛って露命を繋ぎ、岩窟や樹の下で、雨露を凌いでいた幾日と云う長い間、彼等は一言も不平を滾さなかった....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
、悪魔の心を心として、世を呪い、人を呪うを務めとするのじゃ。ある者は世を逃がれて岩窟にかくれ棲むもある、ある者は博学の秀才として世に時めくもある。大商人として燕....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
居るから苦もなく渡った。そんな川を二つ渡ってちょうど二里半ほど山を登りますと白い岩窟が見えたです。それで私は白巌窟と名づけた。婆さんの息子がその白巌窟を指してあ....
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
だ一定の居所を有しないのみで、家族を率いて次から次へと雨露を凌ぐに足る様な適当な岩窟や、塚穴などを見付けて臨時の住家とし、笊や箕や竹籠などを造っては、その付近二....