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「岩角〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

岩角の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
片手に掴《つか》んで、両足へうんと力を入れた。と同時に舟は大きく揺れながら、舳に岩角《いわかど》の苔《こけ》をかすって、たちまちそこへ横づけになった。 女は彼....
富士」より 著者:岡本かの子
い浮べられて来たときに、女はわれ知らず、身体が熱くなり、顔の赭くなるのを覚えた。岩角を一つ曲ると、かすかな燈火の灯かげに照し出され、一人の若い男が、天井から垂れ....
高野聖」より 著者:泉鏡花
蛇《おろち》の蜿《うね》るような坂を、山懐《やまぶところ》に突当《つきあた》って岩角を曲って、木の根を繞《めぐ》って参ったがここのことで余りの道じゃったから、参....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
を操られるような神秘な動き方をするのであった。復一の胸は張り膨らまって、木の根、岩角にも肉体をこすりつけたいような、現実と非現実の間のよれよれの肉情のショックに....
薬草取」より 著者:泉鏡花
、ぱっと退く中を、衝と抜けると、岩を飛び、岩を飛び、岩を飛んで、やがて槍を杖いて岩角に隠れて、それなりけりというので、さてはと、それからは私がその娘に出逢う門出....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
て、またニタリと笑った。 その杉を、右の方へ、山道が樹がくれに続いて、木の根、岩角、雑草が人の脊より高く生乱れ、どくだみの香深く、薊が凄じく咲き、野茨の花の白....
火星兵団」より 著者:海野十三
れはしばしば木のかげになって、見えなくなったり、そうかと思うと、また、ひょっくり岩角から現れたりしたが、結局、不思議な人間の行列であることだけは、はっきりした。....
怪塔王」より 著者:海野十三
そのとき、谷底から、魂消るような悲鳴がきこえて来た。二人はそれは谷底におちて岩角に頭をうちつけたらしい怪塔王の最期の声であると知った。 「おお、あれは――」....
異国食餌抄」より 著者:岡本かの子
ある。それは烏貝がフランス程普遍的な食物になっていないことだ。日本では海水浴場の岩角にこの烏貝が群っていて、うっかり踏付けて足の裏を切らないよう用心しなければな....
人狼」より 著者:岡本綺堂
奥へ踏み込んで……。(向うを見る。)当途も無しに峰や谷間を駈けまわって、木の根や岩角にでも蹉くか、谷川へでも滑り落ちるか、飛んだ怪我でもしなさらねばよいが……。....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
真向いに、高欄の縁下に添って通ると、欄干の高さに、御堂の光明が遠くなり、樹の根、岩角と思うまで、足許が辿々しい。 さ、さ、とお絹の褄捌きが床を抜ける冷たい夜風....
二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
して苦んだり悶いたりした。坦々砥の如き何|間幅の大通路を行く時も二葉亭は木の根|岩角の凸凹した羊腸折や、刃を仰向けたような山の背を縦走する危険を聯想せずにはいら....
穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
の間は、かつて、測量員すら逡巡して通行しなかったところ、案内者も、今回が初対面、岩角に縋り綱を手繰り、または偃松を握りなどし、辛くも、連稜の最低部=槍と穂高の交....
一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
ないので、そのまま上の草の混った胸壁を登り続ける。 その辺の傾斜は六十度余で、岩角で確保しながらほとんど平になって見える先ほどの雪渓や一枚岩の岩場が銀灰色に光....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
耳に口を寄せた。 怪しの者は首肯いて、忽ちひらりと飛び出したかと見る中に、樹根岩角を飛越え、跳越えて、小さい姿は霧の奥に隠れて了った。お杉は白い息を吐いて呵々....