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岩陰
「岩陰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
岩陰の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
谷は濃霧にみち、電光がきらめく。そして、雹《ひょう》、石のような雨。またその間に
岩陰に目をむく、土族を追えば黒豹におどされる。まったく、それは四月間の地獄のよう....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
と、頭脳を絞ってみたが、不図《ふと》思付いて、彼はすこし後退すると雪塊を掘っては
岩陰へ搬《はこ》んだ。そしてかなり溜った上で、今度はそれを掴《つか》んで矢つぎ早....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
下全部濡れてしまう。この調子ではスキーを折る恐れがあると思ったので、ちょっとした
岩陰で露営する。靴を脱いで足をルックザックの中に入れ、坐ると濡れたズボンが足に触....
「人蔘の精」より 著者:田中貢太郎
が暮れかかると腰につけていた辨当をたべて、不意に雨が降って来てもかまわないような
岩陰を見つけてそこへ寝てしまいました。 其の晩は明るい月がありました。張は手足....
「俊寛」より 著者:倉田百三
ければならない。もう弓を引く力もなくなった。水くぐる海士のすべも知らない。(ふと
岩陰を見る)見つけたぞ! (
岩陰に飛びゆき)待て。かにめ。(あわて捕えんとす)え....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
たこの地はひとしきり、深い林と月光との、無人の静かな境地となっていた。 しかし
岩陰には陣十郎が負傷に苦しんで呻いていた。 大岩の陰にいたために、多四郎にも要....
「竈の中の顔」より 著者:田中貢太郎
それを塞いでいたりした。二人は時どき立ち止まって足場を考えてからあがって往った。
岩陰にある小屋が眼の前に来た。三左衛門は一呼吸入れてから小屋の口へ往った。 「も....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
ゃないか。お前の衰えた眼にも少しは立派に見えようがな。ほら、帆をなかば張った船が
岩陰から現われた。帆は夕日で燃えるように赤く、水に映った様子が人魚そっくりだ。あ....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
穂高と北穂高との間を通るがよい。霧は次第に深く、かてて雨、止むを得ず合羽を纏い、
岩陰で暫時雨を避け、小降りの折を見て、また登り始める。 四 雲の奥岳 ....
「一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
足は岩に当って白い沫をあげながら、無数の細い滝となって乱れ落ちて行く。身を寄せる
岩陰もない岩壁に、術もなく小鳥のように立ちすくんだ三人は、ロープを引緊めたまま言....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
の中ばかり一人で進んで行くのですから堪らない。夜は雪の中へ寝た事もありまた幸いに
岩陰でもありますとそこへ泊り込むことにして、ただ磁石を頼りにかねて聞いてある山の....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
りながら足も軽やかに、山を降りていたのです。と、岩躑躅の一杯に咲き乱れた、そこの
岩陰を曲った途端に、――もうそこは、山の麓になっていたのです。 突然ウーッ! ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
頭の最高点は海抜一千十七尺あり、山上には岩石あるのみ。これに緑苔の蝕するを見る。
岩陰には雪なお累々たり。もし、山麓の海に浜せる地に至りては小草繁茂し、微花媚を呈....
「参宮がえり」より 著者:田中貢太郎
に見える父親と、二十歳位になる忰の二人|伴であった。 舟は波のうねりのすくない
岩陰に繋がれて陸へは橋板が渡された。その舟には顔の渋紙色をした六十に近い老人と三....
「俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
菫雨 ゝゝゝ河原を渡るゝゝゝゝ 半閑 ゝゝゝ砂山たどるゝゝゝゝ 呑天 ゝゝゝ
岩陰伝ふゝゝゝゝ 露新 ゝゝゝ庭をうろつくゝゝゝゝ 正光 ゝゝゝ垣根|往き来....