» 岸べ

「岸べ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

岸べの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
《てすり》に近づいてそれを見渡した。オレゴン松がすくすくと白波の激しくかみよせる岸べまで密生したバンクーバー島の低い山なみがそこにあった。物すごく底光りのするま....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
実に遺憾なり。 一水二条貫遊。 (水はふたすじの川となって市街をつらぬいて流れ、岸べの茶店が幾層もの高楼をなしている。夜もふけてなお電車の走る響きをきく。人々は....
ルバイヤート」より 著者:小川亮作
君の目をたのします青草が 明日はまた君のなきがらからも生えるさ。 63 川の岸べに生え出でたあの草の葉は 美女の唇から芽を吹いた溜め息か。 一茎の草でも蔑ん....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
強い衝動を感じます。この間も窓によって空にきらめく星屑と満潮した川面のふくらみと岸べの静かな森とを眺めた時、私は調和と愛との深い感動を抑えることができず、ああ愛....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
に近い山が聳えていた。 「行く水」という想念が浮かぶときには私はいつでもこの川の岸べに立って川下を見渡した時の思いに返る。 先に一寸書いた新平民の孤独な子供槇....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
たりの者には来ない理由がよくわかっているとみえて、必死に人込みを押し分けながら、岸べまで駆け降りていった様子でしたが、伝六が例の調子で、ガンガンとどなりながらい....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
もない。 雨はやんだが、そのかわり、夕だちあとの夜風が出たとみえて、ざわざわと岸べの蘆《あし》が気味わるく鳴きながら、まだ暮れたばかりの宵《よい》だというのに....
映画時代」より 著者:寺田寅彦
かった。そして始めて見た時の強い印象はかなり強烈なものであった。ホワイトナイルの岸べに生まれたある黒んぼ少年の数奇な冒険生涯《ぼうけんしょうがい》を物語る続きも....
旅日記から」より 著者:寺田寅彦
すがに樹木の緑があって木陰には牛や驢馬があまり熱帯らしくない顔をして遊んでいた。岸べに天幕があって駱駝が二三匹いたり、アフリカ式の村落に野羊がはねていたりした。....
日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
因子となっているようである。 先住民族は貝塚を残している。彼らの漁場はただ浜べ岸べに限られていたであろうが、船と漁具との発達は漁場を次第に沖のほうに押し広げ同....
山上湖」より 著者:豊島与志雄
に、私は腰を下して、両手に額をもたせた。掌も額も冷たい感じだ。ひたひたと、足先の岸べにかすかな水音がする。平田はそこいらを歩き廻っていた。近くに来て、ふいに私の....
死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
不幸な人々、幼年時代にはぼろを着て、四つ辻の泥のなかをはだしで駆けまわり、冬は河岸べりにうち震え、諸君が食事をしに行くヴェフールの家の料理場の風窓で身をあたため....
昭和遊撃隊」より 著者:平田晋策
した。 「ライオン戦車隊、沼へ入れ。」 変な命令だ。ライオン戦車は、ぞろぞろと岸べへすすんで沼の中へ入って行った。 沼の底は砂のまじった泥地《でいち》である....
大和路・信濃路」より 著者:堀辰雄
」少女はもうその事はけろりとしているようだった。 そこで僕が先きに立って、その岸べには菖蒲《あやめ》のすこし生い茂っている、古びた蓮池のへりを伝って、塔のほう....
石狩川」より 著者:本庄陸男
した、久しぶりの熟睡でした。さて本日の行程じゃが、この霧では」 彼はきり立った岸べの木々を見あげた。それさえ半分は隠れていた。 「山越えは更に迷うばかりでござ....