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「岸壁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

岸壁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
しきりに燃え盛って、ただ一念に穿ち進むほかは、何物もなかった。一分でも一寸でも、岸壁の削り取られるごとに、彼は歓喜の声を揚げた。 市九郎は、ただ一人取り残され....
俊寛」より 著者:菊池寛
帆は、張り裂けるように、風を孕んだ。船は見る見るうちに小さくなっていく。俊寛は、岸壁の上に立ちながら、身を悶えた。もう声は、すこしも出ない。ただ、獣のように岸壁....
地中魔」より 著者:海野十三
の耳許で、突然、金属の擦れ合う音がした。はッと驚いて、頭をあげてみると、いままで岸壁のように揺らぎもしなかった鉄扉が、すこしずつ手前の方へ開いてくるのだった。 ....
工場細胞」より 著者:小林多喜二
のような灰色の図体を据えていた。それは全く軍艦を思わせた。罐は製品倉庫から運河の岸壁で、そのまゝ荷役が出来るようになっていた。 市の人は「H・S工場」を「H・....
カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
年だ。二人の警官に護られている。 喬介に伴われた一行が、二号|船渠の海に面した岸壁の辺りまで来た時に、どきまぎしながら彼等について行った私に向って、初めて喬介....
霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
らしい。そのような取引を、隆夫のたましいは見守っていたくはなかった。彼は、今しも岸壁《がんぺき》をはなれて出港するらしい一隻の汽船に、気をひかれた。 彼は燕《....
恐竜島」より 著者:海野十三
っており、天井も高くなっていた。たしかにこの中は人工が加えていることがわかった。岸壁も、のみでけずって、中をひろくしたにちがいない。けずられた小さい石塊《せっか....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
行島戦隊の戦士たち、ばんざーい」 「ばんざーい。――この次は、飛行島をヨコハマの岸壁につけたときに、乾杯しようや」 「ああそれがいい。愉快愉快」 士官酒場は、....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
翌日、ヒルト博士らはついに去ってしまった。※牛をつらねたながい行列を、折竹らは大岸壁のうえからながめている。季節風前によくあるクッキリと晴れた日で、氷河の空洞の....
剣侠」より 著者:国枝史郎
からなア……骸骨なんだ、本当の骸骨! ……そっくり原形を保っている奴だ。そいつが岸壁の右にも左にも、ズラリと並んでいやがるじゃアないか」 悪人還元 1 陣十郎....
百喩経」より 著者:岡本かの子
、おまえさん、橋を渡って河岸を歩いて帰りなさるかい。今日は天気が宜いから曳舟から岸壁の環へ洗濯|紐を一ぱい張ってあるから歩き憎いよ。は は は。あすこの釣好きの....
火と氷のシャスタ山」より 著者:小島烏水
古駅があり、その次には、シャスタ・スプリングといって、シャスタ火山の基盤熔岩なる岸壁の間から、地下の伏流が、富士の白糸の滝のように、千筋とまでは行かなくとも、繊....
一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
るが、手懸の多いガッチリとした岩なので、緊張しながらも愉快にはかどる。やがて右の岸壁に入っている急な棚状の箇所を行きつめると、リンネは一枚岩の岩壁で囲まれて、三....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
ごりの月光のなか船は港に入る。メキシコ南部の冬の朝は春の暖かさよりもあたたかい。岸壁のあたりには列をなして紅い衣装を身にまとった人が歩いている。これは西欧の人で....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
すりと眠りこけてしまったらしいのだ。 当の七日の正午には、私は桜木町から税関の岸壁を目ざして駛っている自動車の中に、隣国の王やアルスの弟や友人たちに押っ取り巻....