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峠道
「峠道〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
峠道の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
出立。それからどこへ行った事やら、再び、岡山へは来なかった。 それを西大寺越の
峠道に、源之丞その他が待伏せして斬殺したという説があるが、これは取らぬ。 有斐....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
辺に朽葉を貼りつけて眼の先に蹲《うずくま》っている。私は脅えの中にも主人がこの旧
峠道にかかってから別人のように快活になって顔も生々して来たのに気付かないわけには....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
アバタの穴があいているわい。あはは……」 笑いやむと、佐助は武者ぶるいしながら
峠道を登って行った。 やがてノッポの大股は山賊の山塞に近づくと、佐助は、 「遠....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
楽で雪もあり眺望もよく面白い山行でした。しかし八月であったためか五色ヶ原の針ノ木
峠道の外、登山者には一人も会いませんでした。私のように変なコースを一度にやる人は....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
困惑しながら、しかし自分の方から話しかける場合でないので、やっぱり黙って歩いた。
峠道にかかると、楓や樅やぶなの樹などが、空もかくれるほど枝を交していて、一そう空....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
」 主水は俯向いて溜息をした。 二人はしばらく黙っていた。 森の外の明るい
峠道を、二三人の旅人が通って行き、駄賃馬の附けた鈴の音が、幽かながらも聞こえてき....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
ういう事というのは、突然に深夜の江戸の町で、貴殿に切ってかかったり、飛騨の山中の
峠道で、妙な矢文を貴殿へ送ったり、また今日のようなこんな恰好で、貴殿と太刀打ちを....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
街道で、石標の立った分岐点を、二人の兄弟は右に取り、中仙道を歩ませた。宿を出ると
峠道で、朝陽出ぬ間の露の玉が木にも草にも置かれていた。夜明け前の暁風に、はためく....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
珠をつづり草の間では虫が鳴いていた。ひどく気持ちのよい日和であった。 と行手の
峠道へポツリ人影が現われたが、長い芒の穂をわけて次第にこっちへ近寄って来た。見る....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
はなんとなく気の落ち着く山のすそで、旅の合羽も脚絆も脱いで置いて、田舎風な風呂に
峠道の汗を忘れた時は、いずれも活き返ったような心地になった。 「ここの家は庄屋を....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
たことを告げて置いて、やがて半蔵は社頭の鳥居に近い杉切り株の上に息をついた。暑い
峠道を踏んで来た平兵衛も、そこいらに腰をおろす。日ごとに行きかう人馬のため踏み堅....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
長いこと妻籠の伯父の家にも時を送らなかった。三、四年ぶりで彼女は妻籠から馬籠への
峠道を踏んだ。そこは同じ旧い街道筋ではあるが、白木の番所の跡があるような深い森林....
「山上湖」より 著者:豊島与志雄
るくても、少し遠くの物のけじめはなかなかつき難い。湖岸からでは、ここへ下りてくる
峠道はどの辺か、見定められないし、雨宿りして焚火をした小屋など、見当もつかない。....
「舞踏病」より 著者:豊島与志雄
、肝心の先生が感冒をひいて熱を出して寝てる始末です。代診だの俥だのは勿論ないし、
峠道を二十町も歩いて行けやしません。そこで先生は――僕の親戚に当る人ですが、東京....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
「どうもこうもありゃしねえ、早くわっしの逃げる方へお逃げなさい」 がんりきは
峠道を飛び下りる。お絹はそれと同じ方へ飛び下りる。駕籠屋は、ただ白刃の光を見ただ....