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島田髷
「島田髷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
島田髷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
てそのそばをすりぬけながら、何か意味のわからない事を早口にいって走り去った。その
島田髷《しまだまげ》や帯の乱れた後ろ姿が、嘲弄《ちょうろう》の言葉のように目を打....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
考え出すと、彼女はまた急に苛々《いらいら》して来た。林之助の見ている前で、お里の
島田髷を邪慳《じゃけん》に引っつかんで、さっきお此を苦しめたようにその鼻づらへ青....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
女が多いんですか」 「やっぱり女が多かったようです。若い女が眼をさまして見ると、
島田髷が枕元にころりと落ちている。これは泣き出すのが当たりまえでしょう。しかし女....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
」 「その娘は幾つぐらいの子で、どんな装《なり》をしていた」 「十七八でしょう。
島田髷に結って、あかい帯をしめて、白い浴衣《ゆかた》を着ていました」 「どんな顔....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
て彼女のうしろ姿を暫く眺めていると、お光は更に両国橋に向って辿って行った。彼女は
島田髷の頭を重そうに垂れて、なにかの苦労ありげに悄然としているのが半七の注意をひ....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
小さなもの、年紀ごろで視て勿論お手玉ではない、糠袋か何ぞせっせと縫っていた。……
島田髷の艶々しい、きゃしゃな、色白な女が立って手伝って、――肥大漢と二人して、や....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
た。 「北川準一!」 失敗った! ハッと振りかえってみると、そこには結いたての
島田髷に美しい振袖を着た美しい女が立っていて、僕の両腕の急所を、女とは思えぬ力で....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
習慣に、圧にのせた石の数々はわずかに水を出た磧であった。 つい目の前を、ああ、
島田髷が流れる……緋鹿子の切が解けて浮いて、トちらりと見たのは、一条の真赤な蛇。....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
と尾花が擽る! はだかる襟の白さを合すと、合す隙に、しどけない膝小僧の雪を敷く。
島田髷も、切れ、はらはらとなって、 「堪忍してよう、おほほほほ、あははははは。」....
「古狢」より 著者:泉鏡花
六へ向って、順に引返すと、また向うから、容子といい、顔立もおなじような――これは
島田髷の娘さんであった――十八九のが行違った。 「そっくりね。」 「気味が悪いよ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
と云う、妾の一人か。おおん神の、お膝許で沙汰の限りな! 宗山坊主の背中を揉んでた
島田髷の影らしい。惜しや、五十鈴川の星と澄んだその目許も、鯰の鰭で濁ろう、と可哀....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
に揉み苦茶になった。それを着ている女のからだも一緒に揉み苦茶になって、結い立ての
島田髷も根から頽れてしまった。彼女は苦しい息の下で、泣きながら男に詫びた。 「そ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
ゃ。地方で結うたなり、船や汽車で、長いこと、よう撫でつけもせなんだれど、これでも
島田髷やったが、にい。」 私は顔を見た。 「覚えておいでますかにい――ちょっと....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
交って……御休所と油障子に大きく書いたのを、背中へ背負って、緋めれんすの蹴出しで
島田髷の娘が、すたすたと、向うの吹上げの池を廻る処を、お悦が小走りに衝と追って、....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
に朱葉の紅の影を映している。高嶺は遥に雪を被いで、連山の波の寂然と静まった中へ、
島田髷に、薄か、白菊か、ひらひらと簪をさした振袖の女が丈立ちよくすらりと顕われた....