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崖道
「崖道〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
崖道の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
立悚《たちすく》むようであった。
お島は二人の間に挟《はさ》まれて、やがて細い
崖道を降りて行ったが、目が時々涙に曇って、足下《あしもと》が見えなくなった。
....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
った。 そこで私達は来合せた洋吉氏に断って玄関へ出ると、下男に案内を頼み、岬の
崖道を下って岩の多い波打際に降り立った。 二 恰度これから....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
らんと思いし千々岩は来たらず、しきりに波立つ胸の不平を葉巻の煙に吐きもて、武男は
崖道を上り、明竹の小藪を回り、常春藤の陰に立つ四阿を見て、しばし腰をおろせる時、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
「これから私が案内をして上げます、御安心なさいまし」 馬子はお松の先に立って、
崖道《がけみち》を桂川の岸へと下りて行きます。 しばらくしてこの馬子は、桂川の....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
。……これは俺が拵えた道だ。おおかた半年もかかったろう。天狗の宮の真後ろまでこの
崖道は続いている。いや随分苦労したよ。もうここまでやりとげれば後は的物を盗むだけ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の時に、自分がさいぜん見つけ出した、藤川の岸へ下りるであろうところの藪《やぶ》の
崖道の中から、むくむくと姿を現わしたものがありました。 「おっとっと――」 そ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
この少年の頭には、甲斐の徳間入《とくまいり》の川の中で砂金をすくっていた時、あの
崖道から下りて来て道をたずねたのが七兵衛で、川を隔てて向うの
崖道を七兵衛と共に歩....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
あるから……」 与八は、こんなことを考えながら、高い石段を下って街道筋へ出で、
崖道《がけみち》を下って、多摩川の岸の水車小屋まで着いてしまいました。案内知った....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
った。もう何にも考えたくなかった。 星の光りの淡い寂しい空の下に、掘割に沿った
崖道が先低く続いていて、その向うにぽっと明るい広辻の見えるのが、却って佗しい気分....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
、それからしばらくは、鶏のくっくっと鳴く声だけが聞えていた。 「君は、いま、狭い
崖道を歩いているんだよ。」 次郎にとって、そんな言葉は、むろんもう少しも珍らし....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
んじゅしゃげ)を手折った。私は今でも真紅なまんじゅしゃげを手に持って、川の見える
崖道を、華やかに笑いながら、ハンカチを手にして少し婀娜っぽく、その花にまけず美し....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
崩れを思うと、何となく急き立てられるようで、終に筆を採らずにしまった。 危うい
崖道も、来た時よりはらくに過ぎて、湯川近くに二日前の写生を続けた。二日前は曇った....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
オイケンの哲学に関する先生の感想を伺《うかが》って、夜《よ》も九時過再び千駄木の
崖道をば根津権現《ねづごんげん》の方へ下《お》り、不忍池《しのばずのいけ》の後《....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
いました。
暫く休んで北に登ること一里にして西に折れ一方に千仞の谷間を望みつつ
崖道の恐ろしい牟伽羅坂という坂を登って参りましたが、その坂路の嶮峻なることはなん....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
鼻と鼻とがぶつかり合っている間を、谷水は深く穿って、勢に任せて奔下している。危い
崖道を上下し、釣橋を渡って又崖の縁を少し登ると、小黒部鉱山への道が岐れる。椈の大....