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崩
「崩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
崩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
した家々の上へ眼をやって、地鳴りの音、梁《はり》の落ちる音、樹木の折れる音、壁の
崩れる音、それから幾千人もの人々が逃げ惑うのでございましょう、声とも音ともつかな....
「母」より 著者:芥川竜之介
。
もっとも後は向いたと云う条、地味《じみ》な銘仙《めいせん》の羽織の肩には、
崩《くず》れかかった前髪《まえがみ》のはずれに、蒼白い横顔が少し見える。勿論肉の....
「春」より 著者:芥川竜之介
はずか》しさを感じた。このショックは勿論|浪《なみ》のように彼女の落ち着きを打ち
崩した。彼女は半《なか》ば微笑した目にわざと妹を睨《にら》めるほかはなかった。
....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
厳を保ちたいのである。……
その内に汽車は動き出した。いつか曇天《どんてん》を
崩《くず》した雨はかすかに青んだ海の上に何隻も軍艦を煙らせている。保吉は何かほっ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
ちと怪しからんな。」
牧野はお蓮の手を突《つっ》つきながら、彼一人上機嫌に笑い
崩《くず》れた。
しかし牧野はいつまでも、その景気を保っていられなかった。犬は....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
たる勇士なれど、凱旋《がいせん》後とかく素行|修《おさま》らず、酒と女とに身を持
崩《もちくず》していたが、去る――日《にち》、某酒楼にて飲み仲間の誰彼と口論し、....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
いる音としか思われなかった、しかし事実は打ち返された土の下にある霜柱のおのずから
崩《くず》れる音らしかった。
その内に八時の上《のぼ》り列車は長い汽笛を鳴らし....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
はなかった。
その内に猪首の若者は、とうとう大岩に背《せな》を圧《お》されて、
崩折《くずお》れるように砂へ膝をついた。その拍子《ひょうし》に彼の口からは、叫ぶ....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
うしょくだんい》するの幸福を得べし。然れども世界に誇るべき二千年来の家族主義は土
崩瓦解《どほうがかい》するを免《まぬか》れざるなり。語に曰《いわく》、其罪を悪《....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
ではない。そこには年の若い傾城《けいせい》が一人、艶《なまめか》しい膝《ひざ》を
崩したまま、斜めに誰《たれ》かの顔を見上げている。………
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「さん....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
ちろん鬼灯提灯を吊った無数の船に埋まっていた。するとその大川の上にどっと何かの雪
崩れる音がした。僕のまわりにいた客の中には亀清の桟敷が落ちたとか、中村楼の桟敷が....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
んでも、その方さえ都合が好ければ、好いと思っているのだな」 閻魔大王は森羅殿も
崩れる程、凄じい声で喚きました。 「打て。鬼ども。その二匹の畜生を、肉も骨も打ち....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
彼等も帰れない事は、勿論彼にもわかり切っていた。 その次に車の止まったのは、切
崩した山を背負っている、藁屋根の茶店の前だった。二人の土工はその店へはいると、乳....
「狂女」より 著者:秋田滋
者でも運ぶように蒲団の両端をになって、その家から出てゆくのが見えた。すこしも形の
崩れぬ寝床のなかには、例の狂女が、相かわらず黙々として、いかにも静かに、自分の身....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
て、彼はめッきり年をとった。そして、彼が心ひそかに念じている一縷の望みも日一日と
崩れて行くのだった。いまはもう、教会へお勤めに来る人はひとり残らず知っていた。そ....