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崩る
「崩る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
崩るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
ばかりに、よくは見えない庭を見るとはなしに見入った。 北海の波の音、絶えず物の
崩るる様な響、遠く家を離れてるという感情が突如として胸に湧《わ》く。母屋の方では....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
り退くと、 「参りました」と、平伏してしまった。 見物席の人々は、北の庄の城の
崩るるばかりに喝采した。忠直卿は得意の絶頂にあった。上席に帰ると、彼は声を揚げて....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ら下げながら出た処は、そんじょ芸者の風がある。 「やっと寝かしつけたわ。」 と
崩るるように、ばったり坐って、 「上の児は、もう原っから乳母が好いんだし、坊も、....
「妖術」より 著者:泉鏡花
蔵前を通る、あの名代の大煙突から、黒い山のように吹出す煙が、渦巻きかかって電車に
崩るるか、と思うまで凄じく暗くなった。 頸許がふと気になると、尾を曳いて、ばら....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
を隔ててふた声、三声。われわれは恐れて路を急いだ。 仲の茶屋へ着く頃には、山も
崩るるばかりの大雨となった。(明治43・8) 船は門司に泊る。小春の海は浪おど....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
。(無造作に、座を立って、卓子の周囲に近づき、手を取らんと衝と腕を伸ばす。美女、
崩るるがごとくに椅子をはずれ、床に伏す。) 女房 どうなさいました、貴女、どうな....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
がはっとして、肩に萌黄の姿つめたく、薄紅が布目を透いて、 「明ちゃん……」 と
崩るるごとく、片頬を横に接けんとしたが、屹と立退いて、袖を合せた。 僧を見る目....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
して、取縋るように、女中の膝を竊と抱き、袖を引き、三味線を引留めた。お三重の姿は
崩るるごとく、芍薬の花の散るに似て、 「堪忍して下さいまし、堪忍して、堪忍して、....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
五台ばかり、燕が行抜けそうにがらんとしていた。 乗るわ、降りるわ、混合う人数の
崩るるごとき火水の戦場往来の兵には、余り透いて、相撲最中の回向院が野原にでもなっ....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
両膝かけて、ざっと、ありたけの茶を浴びたのである。 むらむらと立つ白い湯気が、
崩るる褄の紅の陽炎のごとく包んで伏せた。 頸を細く、面を背けて、島田を斜に、 ....
「南極の怪事」より 著者:押川春浪
や絶対絶命なり、余は思わず呀と叫んで船底に逃げ込まんとせしが、その途端! 天地も
崩るるがごとき音して、船はたちまち天空に舞い上り、たちまち奈落に沈むがごとく、そ....
「取舵」より 著者:泉鏡花
外海にて、快晴の日は、佐渡島の糢糊たるを見るのみなれば、四面※茫として、荒波山の
崩るるごとく、心易かる航行は一年中半日も有難きなり。 さるほどに汽船の出発は大....
「山吹」より 著者:泉鏡花
貴女、――奥さん。 夫人 あら、先生。(瞳を※くとともに、小腕しびれ、足なえて、
崩るるごとく腰を落し、半ば失心す。) 画家 (肩を抱く)ウイスキーです――清涼剤....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
のを教えてやろう。」 「姉さん、虫の薬だ、我慢しな。」 「厭、」という時、黒髪は
崩るるごとく蔵人の背に揺れかかって真白な腕は逆に、半身|捻れたと思うと二人の者に....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
かり此方の店前を掠めた蔭に、古布子で平胡坐、継はぎの膝かけを深うして、あわれ泰山
崩るるといえども一髪動かざるべき身の構え。砥石を前に控えたは可いが、怠惰が通りも....