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嵌
「嵌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嵌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
。巌乗《がんじょう》な槲《かし》の窓枠《まどわく》が、ちょうど額縁《がくぶち》を
嵌《は》めたように見える。その画のまん中には一人の女が、こちらへ横顔を向けながら....
「影」より 著者:芥川竜之介
に二年前から、延べの金《きん》の両端《りょうはし》を抱《だ》かせた、約婚の指環が
嵌《はま》っている。
「じゃ今夜買って頂戴。」
女は咄嗟《とっさ》に指環を抜く....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
《おとこめかけ》にしていたと云う事、その頃は夫人の全盛時代で金の指環ばかり六つも
嵌《は》めていたと云う事、それが二三年|前《まえ》から不義理な借金で、ほとんど首....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
は頭を剃《そ》った、恰幅《かっぷく》の好《い》い老人だった。が、金歯《きんば》を
嵌《は》めていたり、巻煙草をすぱすぱやる所は、一向道人らしくもない、下品な風采《....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
》のまわりへ懸けた十字架形《じゅうじかがた》の瓔珞《ようらく》も、金と青貝とを象
嵌《ぞうがん》した、極めて精巧な細工《さいく》らしい。その上顔は美しい牙彫《げぼ....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
、この云いようのない寂しさは、一体どこから来るのであろう。――内蔵助は、青空に象
嵌《ぞうがん》をしたような、堅く冷《つめた》い花を仰ぎながら、いつまでもじっと彳....
「路上」より 著者:芥川竜之介
二三人は交っていたらしい。それが広い空間を規則正しく塞《ふさ》いだ向うには、壁に
嵌《は》めこんだ時計の下に、うす暗い書庫の入口が見えた。そうしてその入口の両側に....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
と同じ市松の倭衣《しずり》を着ていたが、頸《くび》に懸けた勾玉《まがたま》や腕に
嵌《は》めた釧《くしろ》などは、誰よりも精巧な物であった。彼は腕を組んだまま、ち....
「少年」より 著者:芥川竜之介
》に似た代赭色をしている。
三十年前の保吉の態度は三十年後の保吉にもそのまま当
嵌《あてはま》る態度である。代赭色の海を承認するのは一刻も早いのに越したことはな....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
つごう》の好《い》い議論を拵《こしら》えるのは、西光法師《さいこうほうし》などの
嵌《はま》り役じゃ。おれは眇《びょう》たる一|平家《へいけ》に、心を労するほど老....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
草をふかし始めた。その姿は見れば見るほど、敵役《かたきやく》の寸法《すんぽう》に
嵌《はま》っていた。脂《あぶら》ぎった赭《あか》ら顔は勿論、大島《おおしま》の羽....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
。
19
岩の壁の上に懸けた十字架。十字架は又十字の格子《こうし》を
嵌《は》めた長方形の窓に変りはじめる。長方形の窓の外は茅葺《かやぶ》きの家が一つ....
「或る女」より 著者:有島武郎
葉子を見た。口びるまでが苺《いちご》のように紅《あか》くなっていた。青白い皮膚に
嵌《は》め込まれたその紅《あか》さを、色彩に敏感な葉子は見のがす事ができなかった....
「悠々荘」より 著者:芥川竜之介
かせたりした。 そのうちに僕等は薄苔のついた御影石の門の前へ通りかかった。石に
嵌めこんだ標札には「悠々荘」と書いてあった。が、門の奥にある家は、――茅葺き屋根....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
云う問題に通じていた。が、逞しい彼の指には余り不景気には縁のない土耳古石の指環も
嵌まっていた。 「大したものを
嵌めているね」 「これか? これはハルビンへ商売に....