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巌壁
「巌壁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
巌壁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「観画談」より 著者:幸田露伴
ずんずんと押して来て、瞬く間に峯巒を蝕み、巌を蝕み、松を蝕み、忽ちもう対岸の高い
巌壁をも絵心に蝕んで、好い景色を見せてくれるのは好かったが、その雲が今開いてさし....
「旅日記から」より 著者:寺田寅彦
ナポリとポンペイ 五月二日 朝甲板へ出て見ると、もうカプリの島が見える。朝日が
巌壁に照りはえて美しい。やがてヴェスヴィオも見えて来た。遠い異郷から帰って来たイ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
を湛え、余の水は其まゝ押流して、余が立って居る岬角を摩って、また下手対岸の蒼黒い
巌壁にぶつかると、全川の水は捩じ曲げられた様に左に折れて、また滔々と流して行く。....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
るしがときどき艶光《つやびか》りして見えた。オダルの港に出かけて行くのだ。自然の
巌壁を天のめぐんだ船澗《ドック》にして、ようやく商業地の栄えを得つつあった港だ。....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
いたりで、力及ばずと知りながら、野望《のぞみ》に向って突進し、累卵《るいらん》を
巌壁《がんぺき》になげうつような真似《まね》をして、身を亡《ほろ》ぼしてくれねば....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
者を、気で吸い取り呑んだので、行旅《たびびと》断絶した。『博物志』に、天門山に大
巌壁あり、直上数千|仭《じん》、草木|交《こもご》も連なり雲霧|掩蔽《えんぺい》....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
おそろしい攻撃兵器がしまってあるのにちがいない。 (たった一目でもいいから、あの
巌壁によじのぼり、ながめおろしたいものだ) 太刀川がそんなことをつぶやきながら....
「成仙」より 著者:田中貢太郎
年してから成が忽然として周の所へ来た。それは黄な巾を冠り鶴の羽で織った※を着た、
巌壁の聳えたったような道士姿であった。周は大いに喜んで臂を把っていった。 「君は....
「ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
う思った。けれどもそれにはやはり錯誤があった。川が崖に沿うて走るようになり、白い
巌壁からなる峡の鉄道橋を渡ったとき、ドナウが依然としてそう細くなってはいなかった....
「脱出と回帰」より 著者:中井正一
一つの神話 日本の伝説の中で、光の美しさを描いているものでは、何といっても、手力男の命が、あの
巌壁を開く時、さしはじめる光の、あの強烈な感じの右に出るものはあるまい。あの伝説....
「松井須磨子」より 著者:長谷川時雨
は、奥深くへと自然に開けていった壁が――何の手ごたえもない幕のように見えた壁が、
巌壁《がんぺき》のように巍然《ぎぜん》と聳《そび》えたっていて、弾《はじ》き飛ば....
「うつす」より 著者:中井正一
インドの王様が――たいていの物語はこれで始まる――二人の画家に壁画を描かしめた。その壁は相面した二つの
巌壁である。ようやく期日が迫るにあたって、一人の画家は彩色美しく極楽の壮厳を描き....
「壁」より 著者:中井正一
こに見たかったからであろう。かつて人間が巌で囲まれていた時は彼らは何ものかをその
巌壁に刻み込んだ。彼らは壁の中にも常に何ものかを見透したかったのである。 壁は....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
しに、成田嘉助氏という豪の者を得たり。植木を業とせるが、年来盆栽になるべき珍木を
巌壁の間に求めんとて、数日の糧を齎らし、ただ一枚の油紙を雨具とし、鉈の外には、何....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
なたに乗ることが出来るかどうかといいますから、それは結構だといって
と突っ立った
巌壁と
巌壁との間を流れて居るブラマプトラ川に着いた。川幅は狭まって居るが非常な急....