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巌頭
「巌頭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
巌頭の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「草枕」より 著者:夏目漱石
で》を取り落した。 緑《みど》りの枝を通す夕日を背に、暮れんとする晩春の蒼黒く
巌頭を彩《いろ》どる中に、楚然《そぜん》として織り出されたる女の顔は、――花下《....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
ん》として薩摩下駄を引きずって門を出た。可愛想《かわいそう》に。打ちゃって置くと
巌頭《がんとう》の吟《ぎん》でも書いて華厳滝《けごんのたき》から飛び込むかも知れ....
「軍用鮫」より 著者:海野十三
喜乱舞という狂燥発作に陥ったのであった。 楊《ヤン》博士は、雑誌を胸にいだき、
巌頭に立って右手を高く天空にあげながら叫んだことであった。いわく、 「ああ偉大な....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
三角形から成り立つような山々は、それぞれの角度をもって、剣ヶ峰を絶頂とする一大|
巌頭にまで盛り上がっている。隠れたところにあるその孤立。その静寂。人はそこに、常....
「不周山」より 著者:井上紅梅
とう非常に静かになって、ただ以前の山のように高い大波があり、陸地の所々に角立った
巌頭が露出している。彼女が海上を眺むれば、ただ幾つもの山が奔り流れつつ波間に旋転....
「楢ノ木大学士の野宿」より 著者:宮沢賢治
恐《おそ》れるところの死なるものは、そもそも何であるか、その本質はいかん、生死|
巌頭《がんとう》に立って、おかしいぞ、はてな、おかしい、はて、これはいかん、あい....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
原広く、かつ長く、川の中に巨大なる蓬莱巌ありて、二つの丸木橋にて、彼岸に達すべく
巌頭に立てば、大雪山の数峰の頂も見えて、川を見上げ、見下す風致も、浮世のものなら....
「大会を終りて」より 著者:中井正一
確認し合ったことは、まことにこの大会を輝かしいものにした。 二十世紀の後半の、
巌頭に立って、わが日本図書館協会は、まったくそれにふさわしく出発したことについて....
「霊的本能主義」より 著者:和辻哲郎
天と人との神秘を開いたる今日にも依然としてむずかしい。むずかしければこそ藤村君は
巌頭に立ち、幾万の人は神経衰弱になる、新渡戸先生でさえ神経衰弱である、鮪のさし身....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
かくして同日午後六時、まさしく欧州最北の岬端ノールカップに着す。即時上陸。千仞の
巌頭屹立して頭上に懸かる。縄索にたすけられて断崖十余町を攀じ、さらに峰頭一マイル....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
ヒリストになった。 彼はある日、与えられた詩文の題に就いて調べる必要があって、
巌頭という偉い禅僧の伝記を読んだ。この僧は唐時代の名僧で、解脱の道に就いては信ず....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
った戦いである。それも充分知っての上の正成とすれば、大言には似るが、あえて自分を
巌頭に立たせるためにも、このくらいなことはいったかもわからない。 けれど、思慮....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
あとの身仕舞いにも、いっそ一人がよいと考えたものらしい。 つまりは彼として身を
巌頭においたもので、強いて盲目な勇に自己を駆るべくむしろ孤独を必要としたのだろう....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
氏は、魚見堂で眠りについた。 なぜか、この魚見堂で眠るときは、いつも彼の運命は
巌頭にあった。筑紫落ちの前夜、また九州から再東上の日、そして今夜―― 「真光寺の....