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「川向こう〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

川向こうの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ころへ野郎の着物が水びたしになっていたと、もっけもねえことを聞いたんで、てっきり川向こうだと確信がついたわけさ。そのうえ、松やにのにおいがしみついていたといった....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ちゃんと断わってあるじゃねえかよ。三日ならばこっちの説教日、こっちが説教日ならば川向こうは暇の日なんだ。蓮信上人、今なんといったのかい。からだに暇さえあれば、興....
駈落」より 著者:佐左木俊郎
だった。併し菊枝だけは、終日黙々としていた。 「菊枝つあん。明日、行ぎしべ?」と川向こうから声をかけた友達にも、彼女は、微笑みを口元に浮かべて首を振って見せただ....
田舎教師」より 著者:田山花袋
かしこれはその心の状態のすべてではなかった。村の若い者が夜遅くなってから、栗橋の川向こうの四里もある中田まで、女郎買いに行く話などをもおもしろがって聞いた。大越....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
歌うて往来をぶらつけば、かなたの家の縁さきに剣をとぎつつ健児が歌う北音の軍歌は、川向こうのなまめかしき広島節に和して響きぬ。 「陸軍御用達」と一間あまりの大看板....
花物語」より 著者:寺田寅彦
まで行ったが、ふと気がついて見るとあたりにはだれもいぬ。仲間も帰ったか声もせぬ。川向こうを見ると城の石垣の上に鬱然と茂った榎がやみの空に物恐ろしく広がって汀の茂....
Liber Studiorum」より 著者:寺田寅彦
敷というのがこっちからよく見える。大きな川に臨んだ見晴らしのいいきれいな部屋で、川向こうに見える山は郷里の記憶に親しいあの山である。だれとも知れず四五人の人々が....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
いじめるのが私はどうしても不満であった。その子を私はいつもかばった。その子の家は川向こうの川手という部落にあり、家の前を西城川という川(郷ノ川の上流)が流れてい....
小説 円朝」より 著者:正岡容
わし、フーッと大きく息を吐きだすと、いつかすっかり黒雲重く垂れこめてしまっている川向こうの景色へ、勢《きお》い立っているいまの心の捌け場を探すもののよう目をやっ....