川面[語句情報] » 川面

「川面〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

川面の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
えまるで耳にははいらなかったらしい。 すると、今し方通った川蒸汽の横波が、斜に川面《かわも》をすべって来て、大きく伝馬の底を揺《ゆす》り上げた。その拍子にひょ....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
ら何も旧弊だからって、一概には莫迦《ばか》に出来ない。』その中に上げ汐《しお》の川面《かわも》が、急に闇を加えたのに驚いて、ふとあたりを見まわすと、いつの間にか....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
。――低い舷の外はすぐに緑色のなめらかな水で、青銅のような鈍い光のある、幅の広い川面《かわづら》は、遠い新大橋にさえぎられるまで、ただ一目に見渡される。両岸の家....
「星座」より 著者:有島武郎
落葉で掩《おお》うて立ち上った。そして何んということもなくそこに佇《たたず》んで川面を眺めやった。半年という長い眠りにはいりこもうとするような自然は、それを眺め....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
暮れの混雑に眼なれている林之助は、右も左も見向きもしないで、急ぎ足に橋を渡った。川面《かわも》には薄い靄が流れて、列び茶屋にはもうちらちらと提灯の火が揺らめいて....
「海底大陸」より 著者:海野十三
に待った人々は、わっとよろこびの声をあげた。そして一せいに眼をかがやかせて、広い川面の方へつまさきをのびあがらせるのだった。 ぽー ぽぽー。 汽笛が鳴った。....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
はよく知ってるのよ」 二三日晴天が続いた。川上はだいぶ降ったと見えて、放水路の川面は赭土色を増してふくれ上った。中川放水路の堤の塔門型の水門はきりっと閉った。....
「時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
頭からかぶって、何のことはない綿祭りのような光景を呈した。 黄浦江は、あの広い川面が、木製の寝台を浮べて一杯となり、上る船も下る船も、完全に航路を遮断されてし....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
曲げての、足をお前、草の上へ横投げに投出して、ソレそこいら、白鷺の鶏冠のように、川面へほんのり白く、すいすいと出て咲いていら、昼間見ると桃色の優しい花だ、はて、....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
蘆のまわりに、円く拡がり、大洋の潮を取って、穂先に滝津瀬、水筋の高くなり行く川面から灌ぎ込むのが、一揉み揉んで、どうと落ちる……一方口のはけ路なれば、橋の下....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
、眼のふちがひやりとして、冷たい風が頬を撫でた。 その時仮橋ががたがたいって、川面の小糠雨を掬うように吹き乱すと、流が黒くなって颯と出た。といっしょに向岸から....
「紅白縮緬組」より 著者:国枝史郎
いるのもそれらしくて勇ましい。 空には上弦の初夏の月が、朧ろに霞んだ光を零し、川面を渡る深夜の風は並木の桜の若葉に戦いで清々しい香いを吹き散らす。 三人の者....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
咎められ懊悩としたる気分も洗い去りて清くなりぬ。ただ看れば橋の中央の欄干に倚りて川面を覗き居る者あり。我と同感の人と頼もしく近寄れば、かの人は渡り過ぎぬ。しばし....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
裏になります。」という時、小曲をして平清の植込の下なる暗い処へ入って蔭になった。川面はますます明い、船こそ数多あるけれども動いているのはこの川にこれただ一｜艘。....
「海ぼたる」より 著者:小川未明
き、二人の目には、水の清らかな、草の葉先がぬれて光る、しんとした、涼しい風の吹く川面の景色がありありとうかんだのであります。 ちょうど昼ごろでありました。弟が....