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「川音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

川音の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
》たったこの山中は滅入《めい》るほど淋しいものだった。ことに日の暮には。千歳川の川音だけが淙々《そうそう》と家のすぐ後ろに聞こえていた。清逸は煮えきらない部屋の....
世相」より 著者:織田作之助
な自分の顔を鏡に覗いて、平気だ、平気だ、なんだあんな女と呟きながら、遠い保津川の川音を聴いていた。 女の過去を嫉妬するくらい莫迦げた者はまたとない。が、私はそ....
食魔」より 著者:岡本かの子
春なかばの空は晴れみ曇りみしている。 しばらく沈黙の座に聞澄している淙々とした川音は、座をそのままなつかしい国へ押し移す。鼈四郎は、この川下の対岸に在って大竹....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
背から下りて、一同草の上に足投げ出し、梅干菜で握飯を食う。流れは見えぬが、斗満の川音は耳|爽に、川向うに当る牧場内の雑木山は、午の日をうけて、黄に紅に緑に燃えて....
若菜のうち」より 著者:泉鏡花
方を慾張った。 とはいえ、何となく胸に響いた。響いたのは、形容でも何でもない。川音がタタと鼓草を打って花に日の光が動いたのである。濃く香しい、その幾重の花葩の....
源氏物語」より 著者:紫式部
係のない間柄ではあるが、いっしょに山荘へ残って暮らしていたのであったが、荒々しい川音を聞くのも、そのうち京の邸へ姫君の迎えられて行く日を楽しみにして辛抱されたも....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
一首を以て代表せしめた。 ○ ぬばたまの夜さり来れば巻向の川音高しも嵐かも疾き 〔巻七・一一〇一〕 柿本人麿歌集 柿本人麿歌集にある、詠....
秋深き」より 著者:織田作之助
。立ち止まってその音をしばらくきいていた。また歩きだして、二町ばかり行くと、急に川音が大きくなって、橋のたもとまで来た。そこで道は二つに岐れていた。言われた通り....
艶色落語講談鑑賞」より 著者:正岡容
。 幇間《たいこもち》では東川喜久八が洗錬されていて、十八番は江戸前の獅子。市川音頭も彼の作詩で例年夏の夜を、江戸川花火、七|彩《いろ》の光を浴びては妓たちが....
私本太平記」より 著者:吉川英治
れている千手院の森だった。 今日も、夜となると。 千手院の一と間の灯は、暗い川音に揺れまたたいて、一|机の辺りを、ちまちまと照らしていた。 蟄居の人、高氏....
私本太平記」より 著者:吉川英治
なお一隅で痛飲していた。 「……どうした。いやに森閑として来たではないか。俄に、川音が耳につく」 「そのはず。もうここには、あなた様しか残っておりません」 「は....
私本太平記」より 著者:吉川英治
雨露次夫婦が、いや、服部治郎左衛門元成と妻の卯木が、その夜、初瀬蛍の吹き舞う川音のなかで、兼好へ虚心に語ったものである。恋にからむ恐ろしい時局の一秘事も、身....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ら外へ夢中で跳び下りていた藤夜叉だった。 走るうちに、 「死んでしまえば……」川音は彼女を少しおちつかせた。 帯もせず、肌着に下紐だけだった。田楽村の野性な....