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「巣立ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

巣立ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:徳田秋声
ぞいくらあったって、日蔭者じゃしようがないじゃないの。」 堅気の田舎の家庭から巣立ちして来たばかりのお今の生な目には、お増の不思議な生活が、煩わしくも惨めらし....
風知草」より 著者:宮本百合子
ました」 眉根の太い、小柄な吉岡が戻って来た。 「ここで養成された看護婦さんの巣立ちだもんだから、どうも手間どって」 実験用テーブルの上の、つつましいピクニ....
風に乗って来るコロポックル」より 著者:宮本百合子
《そうきゅう》のように麗わしく、雲のように巧な繍手であったペケレマットよ! 今巣立ちした、鳥の王なる若鷹のように雄々しい我が息子よ! 我が父も、そのまた父も....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
くある。爆ぜ割れた毬の中から、小さな栗の実が頭を出してきょろきょろしているのは、巣立ち前の燕の子が、泥の家から空をうかがっているようなもので、その眼はもの好きと....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
たようです。しかもその逃げぶりが蹌々踉々《そうそうろうろう》として頼りないこと、巣立ちの鳥のような歩きぶりであります。手を伸ばせば、羽掻《はがい》じめになりそう....
源氏物語」より 著者:紫式部
実の母親に罪作りなことであると源氏は心苦しく思った。 引き分かれ年は経れども鶯の巣立ちし松の根を忘れめや 少女の作でありのままに過ぎた歌である。 夏の夫人の....
源氏物語」より 著者:紫式部
ありませんよ」 と、紙をお渡しになると、女王は恥ずかしそうに書く。 いかでかく巣立ちけるぞと思ふにもうき水鳥の契りをぞ知る よい歌ではないがその時は身に沁ん....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
はその美徳そのものさえ支え難くなりはしないであろうか? 後年子供たちがようやく巣立ちに用意しなければならなくなったころ、父は子供たちのこの美徳のために悩まされ....
慈悲心鳥」より 著者:岡本綺堂
しているうちに、折井君は草のあいだから薄黒い小鳥の死骸を探し出したり。ようように巣立ちをしたばかりの雛にて、なんという鳥か判らず。田島さんは時鳥だろうという。折....
学問のすすめ」より 著者:福沢諭吉
医者は医者、少しくその業を異にすれば相近づくことなし、同塾同窓の懇意にても、塾を巣立ちしたる後に、一人が町人となり一人が役人となれば、千里隔絶、呉越の観をなす者....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
わ》の渡し銭を持たしてやらなくちゃなるめえって寸法よ。なあ三吉、手前も合点長屋の巣立ちじゃねえか、よっく玉を見ろい、そりゃあ、お前出刃の傷じゃねえぜ。匕首だ。九....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
す。 これら“同窓の雀”が、時代のあらしに、翼を分かって、思い思いな二十歳台の巣立ちをしてゆく保延年間(約八百年前)の世態を前奏とし、物語はいま、保元の乱、直....
野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
と思う年齢の差が見られる。一家の都合とか両親の気持とかでは、かなり思い切って早い巣立ちをさせるらしいのである。いたずらっ児時代の記憶を喚起して見ても、瓦をめくっ....
日本の伝説」より 著者:柳田国男
変っているので、見覚えがあります。可愛い昔話の小鳥は、多くは伝説の森、草叢の中で巣立ちますが、同時に香りの高いいろいろの伝説の種子や花粉を、遠くまで運んでいるの....