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巧拙
「巧拙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
巧拙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
なものと、嫌いなものとの別が、あるのは否まれぬと思う。わけても、この「白蟻」は、
巧拙はともかく、私としては、愛惜|措《お》く能わざる一つなのである。私は、こうし....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
演技指導そのものよりも、はるかに根本的であり、その重量の前には区々たる演技指導の
巧拙などはけし飛んでしまうことさえある。 ○演技指導における俳優と演出者の関係は....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
んら……。 わたしらはこの歌の全部を聴き取るほどの耳をもたなかった。勿論、その
巧拙などの判ろう筈はない。塩竈神社の神楽を観た時と同じような感じを以って、ただ一....
「川中島合戦」より 著者:菊池寛
茅がすゑは波よするなり 立ち並ぶかひこそなけれ桜花松に千歳の色はならはで 詩の
巧拙は自分には分らないが、歌は武将としては上乗の部であろう。 又|経書兵書に通....
「画の悲み」より 著者:国木田独歩
画題といい色彩といい、自分のは要するに少年が書いた画、志村のは本物である。技術の
巧拙は問う処でない、掲げて以て衆人の展覧に供すべき製作としては、いかに我慢強い自....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
またどこからか、やれ荒唐無稽じゃ何じゃと流れ弾がとんでくることであろうが、本篇の
巧拙価値はまず措き、とにかくわれわれ日本民族はもっと「科学の夢」「冒険の夢」を持....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
り物にしていたのであるから、一般に女義太夫と云わずして娘義太夫と称していた。芸の
巧拙は二の次ぎとして、所詮は「娘」であるから人気を博したのである。 今日の映画....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
。それにご自慢とは。」 「言え、言え。なんとでも言うが好かろう。おれは自作の歌の
巧拙を今問うているのではないのだ。おれはだ。一たん荒廃した頭脳のなかにも、いつの....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
豊国絵、京伝作と巻尾の署名順を顛倒さした。事実、臭草紙は勿論、読本にしても挿絵の
巧拙善悪が人気に関するが、独立した絵本と違って挿画は本文に従属するのみならず図柄....
「音楽界の迷信」より 著者:兼常清佐
評家にも、ピアノの先生にも一般に聞かれていないで、そして存在の曖昧至極なタッチの
巧拙という事だけがひとり明瞭に聞き出されていいものであろうか。一体そんな事で私共....
「レコード蒐集」より 著者:兼常清佐
かしいことをいっているようです。その一例は、レコードを通じて、演奏家の技術の優劣
巧拙を論じているのが普通なようです。たとえばコルトーの弾いたショパンの『エテュー....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
き、微妙なる音調を尚しとするものである。 そこで文章の死活がまたしばしば音調の
巧拙に支配せらるる事の少からざるを思うに、文章の生命はたしかにその半以上|懸って....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
もない。いずれも単に戦争の現場を見せようとするのが趣意であるから、その場面の善悪
巧拙が直ちにその劇の運命を決するのであって、その成功と不成功とは一にこれにかかっ....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
じとも思ひ立つ哉 世を厭ふ名をだにもさは止め置きて数ならぬ身の思ひ出にせむ 歌の
巧拙でない。その自体の中に宿った心のうめきが洩れているようである。 三十を過ぎ....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
おろせし餌にせよ、魚の呑むには変り無し、ただ之を拳ぐるが六ヶしきにて、釣師の腕の
巧拙なり。ただ一尾の魚を惜むに非ず。釣道の極意を得ざりしを惜むなり。と、兎さま角....