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「巧緻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

巧緻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
惑して見えた。岡は窓ぎわに行ってカーテンの陰から戸外をすかして見て、ポケットから巧緻《こうち》な浮き彫りを施した金時計を取り出して時間を読んだりした。そして少し....
運命」より 著者:幸田露伴
造物の脚色は、綺語の奇より奇にして、狂言の妙より妙に、才子の才も敵する能わざるの巧緻あり、妄人の妄も及ぶ可からざるの警抜あらんとは。吾が言をば信ぜざる者は、試に....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
ら、尚だ尽く目を通していなかったが、デュポン・トーベルヴヰ※等、其製版摺刷の精妙巧緻は今猶お眼底に残って忘れられない。 其中には又クラインマンのアッシリア壁画....
什器破壊業事件」より 著者:海野十三
極めて繊細な彫がなされてあった。これはよくある一枚彫なのであろうが、このように精巧緻密なものにはじめてお目にかかった。 だが、彫を感心しているばかりでは仕方が....
七宝の柱」より 著者:泉鏡花
金泥の一巻を半ば開いて捧げてある。見返しは金泥銀泥で、本経の図解を描く。……清麗巧緻にしてかつ神秘である。 いま此処に来てこの経を視るに、毛越寺の彼はあたかも....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
んだか、日に焼けた顔を真赤に俯向く。同じ色した渋団扇、ばさばさばさ、と遣った処は巧緻いものなり。 「いよ、牛鍋。」と頬被。 片岡牛鍋と云うのであろう、が、役は....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
いで行けば」といったり、「来にけり」と云ったりして、調和しないようだが、そういう巧緻でないようなところがあっても、真率な心があらわれ、自分の心をかえりみるような....
貞操問答」より 著者:菊池寛
人の片言微笑には、孔雀が尾羽を、一杯に広げたような勿体ぶった風情があり、華やかな巧緻な媚に溢れていた。 青年は、常に無邪気そうな、しかし時々気むずかしそうな、....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
者には容易に認め得るところである。 その異常な題材、印象的な人物、劇的な事件、巧緻な手法、等、等によって、この物語はあらゆる読者を深く愉しませるのみならず、ま....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
を垂れて聞き澄ました。次第に遠退き幽かとはなったが、なお追分は聞こえていた。節の巧緻声の抑揚、音楽としての美妙な点は、武骨な造酒には解らなかった。しかしそれとは....
淡紫裳」より 著者:佐藤垢石
る。二千余年前の朝鮮にこんな文明があったのかと思って驚嘆したのである。漆器美術の巧緻なことは、我々芸術を解せぬ者にも、当時の人の雅趣が思われたのだ。楽浪の墓陵を....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
との矛盾ということであろう。彼らの装飾のおびただしさから、彼らの内部生命の陰険で巧緻な組織を計量することはじつにむずかしい。たしかにそうしたものの実例の一つに、....
五重塔」より 著者:幸田露伴
際立ったる細工ぶり、これがあの不器用らしき男の手にてできたるものかと疑わるるほど巧緻なれば、独りひそかに歎じたまいて、かほどの技倆をもちながら空しく埋もれ、名を....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
単に夢を食う者の容易な耽溺だと思われぬようにしたい。そこには安易や恣意や職人的な巧緻や、そのようなものからおよそ遠いものの支配していることに気をつけよう。それは....
料理の妙味」より 著者:北大路魯山人
ことである。躍動の作品、それは魅力と握手し合体した作品である。 料理屋の料理の巧緻を、無条件に是として真似んとするお体裁料理は、真の料理の極意を識ってのことで....