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「巧者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

巧者の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
俊寛」より 著者:芥川竜之介
「康頼は怒るのに妙を得ている。舞《まい》も洛中に並びないが、腹を立てるのは一段と巧者じゃ。あの男は謀叛《むほん》なぞに加わったのも、嗔恚《しんい》に牽《ひ》かれ....
或る女」より 著者:有島武郎
た。 「このままこの船でお帰りなさるがいいね」 とそのどてらを着た中年の世渡り巧者らしいのが葉子の顔を窺《うかが》い窺いいうと、事務長は少し屈託らしい顔をして....
」より 著者:岡本かの子
とはたしかだが職業は誰にも判らず、店ではいつか先生と呼び馴れていた。鮨の食べ方は巧者であるが、強いて通がるところも無かった。 サビタのステッキを床にとんとつき....
親子」より 著者:有島武郎
るようだった。 「うまいことに行った。矢部という男はかねてからなかなか手ごわい悧巧者だとにらんでいたから、俺しは今日の策戦には人知れぬ苦労をした。そのかいあって....
二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
するような超世間的態度で芝居やカフェーにのみ立籠っていて人生の見物左衛門となり見巧者訳知りとなったゞけでは足りない。日本の文人は東京の中央で電灯の光を浴びて白粉....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
ろ狂言の流に影は映らぬと聞いている。古い隠居か。むかしものの物好で、稽古を積んだ巧者が居て、その人たち、言わば素人の催しであろうも知れない。狸穴近所には相応しい....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
祈祷も、その道の博士だ――と言う。どういうものか、正式に学校から授けない、ものの巧者は、学士を飛越えて博士になる。博士|神巫が、亭主が人殺しをして、唇の色まで変....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
少しはありました。それは主として能狂言、猿楽などで、家来達の中にそれぞれその道の巧者なのが居りまして、私達も時々見物したものでございます。けれども自分でそれをや....
取舵」より 著者:泉鏡花
ていたのさ。 乗合に話好の爺様が居て、それが言ッたよ。上手な船頭は手先で漕ぐ。巧者なのは眼で漕ぐ。それが名人となると、肚で漕ぐッ。これは大いにそうだろう。沖で....
茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
なる訳か、 今世の有識社会は、学問智識に乏しからず、何でも能く解って居るので、口巧者に趣味とか詩とか、或は理想といい美術的といい、美術生活などと、それは見事に物....
浮世絵画家の肉筆」より 著者:上村松園
落款のものの中に、とても面白いものがあったようです。むろんこんなのは、その時分の巧者な作者の筆に成ったものであることはいうまでもありますまいが、誰の作なんだか分....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
露が飲みたいという意味の辞世の句を残して儚うなり、贔屓の人々は謂うまでもなく、見巧者をはじめ、芸人の仲間にも、あわれ梨園の眺め唯一の、白百合一つ萎んだりと、声を....
活人形」より 著者:泉鏡花
がむくむくと起き上る処でございました。「え!」 幾度か水火の中に出入して、場数巧者の探偵吏、三日月と名に負う倉瀬泰助なれば、何とて脆くも得三の短銃に僵るべき。....
噴水物語」より 著者:岡本かの子
言ってらっしゃるのです」と床から私のいる窪へ階段を降りて来た。 「あなたがいくら巧者なことを仰っしゃっても駄目ですわ、この噴水には水の仙女が一人も現れていません....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
四五年前まで甲斐東方のあらゆる深山幽谷を跋渉し尽した彼は、猟銃をとっては名うての巧者である。眺望の好い場所を択んで先ず一服という。煙草を吸うのである。煙管が二三....