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「巨刹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

巨刹の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
朱日記」より 著者:泉鏡花
物凄い。 この日の大火は、物見の松と差向う、市の高台の野にあった、本願寺末寺の巨刹の本堂床下から炎を上げた怪し火で、ただ三時が間に市の約全部を焼払った。 烟....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
競を戯れる習慣がある。少い男は憚って、鐘撞堂から覗きつつその遊戯に見愡れたが……巨刹の黄昏に、大勢の娘の姿が、遥に壁に掛った、極彩色の涅槃の絵と、同一状に、一幅....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
一 つれの夫人がちょっと道寄りをしたので、銑太郎は、取附きに山門の峨々と聳えた。巨刹の石段の前に立留まって、その出て来るのを待ち合せた。 門の柱に、毎月十五十....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
ぞろ歩行きした。掛稲に嫁菜の花、大根畑に霜の濡色も暖い。 畑中の坂の中途から、巨刹の峰におわす大観音に詣でる広い道が、松の中を上りになる山懐を高く蜒って、枯草....
雪の宿り」より 著者:神西清
では只おぞましい怖しいとのみ思っておりました足軽衆の乱波も、土一揆衆の乱妨も檀林巨刹の炎上も、おのずと別の眼で眺めるようになって参ります。まことに吾ながら呆れる....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
揚って、流るる藍色の川を切って暗くした。 ――町の東と西とに分れて、城の櫓と、巨刹の棟が見える。俗に魔の火と称えて、この山に棲む天狗が、遊山を驚かすために、と....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
ラルはただに英国中の最大寺院なるのみならず、欧米諸国中にある寺院中、第三に位する巨刹なり。すなわち、イタリア国ローマにあるサンピエトロ寺をもって第一とし、同国ミ....
西航日録」より 著者:井上円了
すべきことなり。 四月九日、午前バンガーを発し、途中チェスター町に休み、同所の巨刹および城壁を一覧し、午後の急車にてロンドンに着す。途上所見、左のごとし。 烟....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
めぐり、大いに風光に富む。ここよりサンチアゴ市まで二百九マイルあり。ここに有名の巨刹ありて、信者四方より雲集すという。コルナ港即事一首あり。 船破。 (船は遠く....
本朝変態葬礼史」より 著者:中山太郎
やま》郡|熱塩《あつしお》村に五峰山慈眼寺と云うがある。僧空海の開基したと伝える巨刹で、境内に人掛松《ひとかけまつ》とて大木がある。昔は天狗が人を攫《さら》って....