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差入れ
「差入れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
差入れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
薬が塗籠んででもあったように、真蒼になって、白襟にあわれ口紅の色も薄れて、頤深く
差入れた、俤を屹と視て、 「……などと云う言だけも、貴女方のお耳へ入れられる筈の....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
にポッカリと穴が明いた。 僕は腹匍いになった。そして、右腕をソロソロと穴の中に
差入れていった。この行動はすべて真暗の中で行われた。懐中電灯などを点すと、万一、....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
るところがあって、母親のところへ使を立て、腹をこわしているので朝と昼とはうどんを
差入れてくれるように頼んでもらった。すると返事があって、監守が伝えた。 「オイ北....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
った。さらばと云うので、彼氏は右手を少女の肩に、それから左手をしたから少女の胸に
差入れて、グッと抱え起した。少女の頭はガクリと胸に垂れ下った。ヌルリと滑った少女....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
賀野はその酒壜の首を掴《つか》むと外に出し、もう一方の開《あ》いた手を戸棚の奥へ
差入れた。そして何か探しているらしかったが、すると突然、裸体画のはいった大きな額....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
一つには、三津子は今日は和服に着換えているせいもあったろう。それは三津子の兄が、
差入れたものであった。 大寺警部は、三津子を容疑者として誰よりも重視しているの....
「火星兵団」より 著者:海野十三
先生はあることに気がついた。
新田先生は、積んである機械の箱の中に、そっと手を
差入れた。
幸いにも、箱の蓋があいているものがあったので、中の機械をさぐること....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
いなので彼の読み物をさがすのは、Gには大きな一つの重荷でした。獄中の同志に書物を
差入れるということは、何でもない簡単なことのように見えて、実はこれほど厄介な骨の....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
いからです。」 「なぜ、詮方がない。うむ。」 お通はこれが答をせで、懐中に手を
差入れて一通の書を取出し、良人の前に繰広げて、両手を膝に正してき。尉官は右手を差....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
入るもんですか。」 「まあ……」 黙ってしばらくして、 「さあ。」 手を中へ
差入れた、紙包を密と取って、その指が搦む、手と手を二人。 隔の襖は裏表、両方の....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、左の方の舷から、ざくりと苫を上へあげた。…… ざらざらと藁が揺れて、広き額を
差入れて、べとりと頤髯一面なその柔和な口を結んで、足をやや爪立ったと思うと、両の....
「錦紗」より 著者:犬田卯
固くそこへ挟んで、ぽんぽんと二度もその上を叩いたのだった。彼女はさらにふかく手を
差入れ、同時に横の方も探ってみたが、やはりどこにも見当らない。底抜けになって下へ....
「米」より 著者:犬田卯
ドルが高くて足が届かなかった。彼女はまるで曲乗りのような具合に、横の方から片脚を
差入れ、右足だけでペダルを踏み、それでも危なげなく吹っとばして行った。 村の医....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
になり、ちょっと小首を傾けて、向うへ押して、ころりと、仰向けに蓋を取って、右手を
差入れて底の方から擡げてみて、その手を返して、畳んだ着物を上から二ツ三ツ圧えてみ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
、明石病院の病室である。 探訪員は天窓をさした、その指を、膝なる例の帽子の下に
差入れた。このいかがわしき古物を、兜のごとく扱うこと、ここにありてもまたしかり。....