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差出し
「差出し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
差出しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
りません。ただちょっと面白かったことには「な」の字さんは東京へ帰った後《のち》、
差出し人|萩野半之丞《はぎのはんのじょう》の小包みを一つ受けとりました。嵩《かさ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ばかしゃ大真面目だがね、君、どうかなるまいか。」 また甘えるように、顔を正的に
差出して、頤を支えた指で、しきりに忙く髯を捻る。 早瀬はしばらく黙ったが、思わ....
「海異記」より 著者:泉鏡花
を見るともなしに、此方の起居を知ったらしく、今、報謝をしようと嬰児を片手に、掌を
差出したのを見も迎えないで、大儀らしく、かッたるそうに頭を下に垂れたまま、緩く二....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
沸から、渋茶を注いで、人皇何代の御時かの箱根細工の木地盆に、装溢れるばかりなのを
差出した。 床几の在処も狭いから、今注いだので、引傾いた、湯沸の口を吹出す湯気....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
した男衆でね。手に弁当を一つ持っていました。 (はいよ、お弁当、)と云って、娘に
差出して、渡そうとしたっけが……」 十一 「そこに私も居る、……知....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ら、行儀よく膝に両の手を重ねて待ったお嬢さんに、顔へ当てるように、膝を伸しざまに
差出した。 「ほんとうに、あなた、蟆子のたかりましたほどのあともございませんから....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
むがごとくに土間に立った、物腰のしとやかな、婆々は、客の胸のあたりへその白髪頭を
差出したので、面を背けるようにして、客は外の方を視めると、店頭の釜に突込んで諸白....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
を背けた。 新しい檜の雨戸、それにも顔が描かれそう。真直に向き直って、衝と燈を
差出しながら、突あたりへ辿々しゅう。 十八 ばたり、閉めた杉戸の....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
供するために、自分の持物だった風変りな指環であるから、銀流を懸けろといって滝太が
差出したのを、お兼は何条|見免すべき。 はじめは怪み、中は驚いて、果はその顔を....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
遅いので、医師が見せに寄越した、正吉に救われた。 車夫は沼の隅の物音に、提灯を
差出したが、芭蕉の森に白刃が走る月影に恐をなして、しばらく様子を見ていたと言う。....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
様であったので、昔は面あかりといって長い二間もある柄のついたものを、役者の顔前に
差出して芝居を見せたもので、なかなか趣きがあった。人形芝居にしても、今日は明るい....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
否、可うござんすよ、さあ、兄や、行って来な。」 撥を片手で引つかむと、恐る恐る
差出した手を素疾く引込め、とさかをはらりと振って行く。 「さあ、お前こっちへおい....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
は仏国公使の挙動にして本来その事件には全く関係なきにかかわらず、公然書面を政府に
差出し、政府もし英国の要求を聞入れざるにおいては仏国は英と同盟して直に開戦に及ぶ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
んぬしが脂下ったという体裁、笏の形の能代塗の箱を一個、掌に据えて、ト上目づかいに
差出した。それは読めたが、今声を懸けたばかりの、勝手口の腰障子は閉まったり、下流....
「活人形」より 著者:泉鏡花
、思わず声を立てけるにぞ、婦人は少し枕を上げて、窓をあおぎ見たる時、八蔵ぬっと顔
差出し、拳に婦人を掴む真似して、「汝、これだぞ、と睨めつくれば、連理引きに引かれ....